安倍晋三首相は、就任後初めて来日した米国のペンス副大統領と会談し、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮対応について協議した。首相はトランプ米政権が「全ての選択肢がテーブルの上にある」として軍事力行使も選択肢に北朝鮮に圧力をかけていることを評価し、日米の連携を確認した。

 ペンス氏はこれに先立つ韓国訪問では、新たな軍事挑発には米韓が「強力な懲罰的措置」で臨む方針で一致している。

 北朝鮮は故金日成(キム・イルソン)主席の生誕105年の15日に行った軍事パレードで弾道ミサイルを次々と公開。ペンス氏の日韓両国訪問の直前にも、失敗したとはいえ弾道ミサイルの発射を強行するなど挑発を続けている。4月25日の朝鮮人民軍創建85年に合わせて6回目の核実験や弾道ミサイルの再発射に踏み切るとの観測もある。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は緊張を高める挑発を直ちにやめるべきだ。

 日本政府にとっては、北朝鮮の暴発を阻止し、米朝の軍事衝突に至る事態を回避するよう対話による平和的解決の道を探ることが最重要課題だ。

 政府の対北朝鮮政策の基本は「対話と圧力」であることを再確認しておきたい。圧力はあくまでも対話への道を開くためである。

 北朝鮮への圧力が暴発を招かないよう、日米韓3カ国で北朝鮮の出方に関する情報を共有し、中国への働き掛けを含む対処方針を擦り合わせる必要がある。韓国政治は大統領選の最中で不安定な状況にあるが、日米韓の緊密な連携に努めたい。

 安倍首相はペンス氏との会談で「平和的に解決していかなければならないのは当然だ」としながらも、「対話のための対話では意味がない。北朝鮮が真剣に対話に応じるように圧力をかけることが必要だ」と述べた。

 これに対してペンス氏は「挑発を受けている日本の非常に厳しい状況をよく理解している」と応じ、「平和は力によってのみ初めて達成される」と圧力強化の必要性を強調した。

 ペンス氏は韓国での記者会見でも「北朝鮮はトランプ大統領の決意や米軍の力を試すべきではない」と北朝鮮に強い警告を発している。

 ただトランプ政権も圧力の一方で、中国への働き掛けなどさまざまな動きを続けているとみられる。大統領は16日の北朝鮮のミサイル発射失敗後に「中国が北朝鮮問題で協力しているときに為替操作国と呼ぶだろうか」とツイッターに書き込み、中国が何らかの行動をとっている可能性を示唆した。

 ペンス氏も安倍首相との会談で「中国側がこの問題をきちんと理解し、同じ行動をとってもらえるものと期待している」と述べた。朝鮮半島周辺に派遣した原子力空母カール・ビンソンもまだ周辺海域に近づいていないとされる。

 日本政府としても正確な情報を得て、冷静に対処する必要がある。安倍首相は国会答弁で、北朝鮮が猛毒サリン搭載のミサイルを着弾させる能力を持っている可能性があるとの認識を示したが、情報源は示していない。

 朝鮮半島有事に備えた邦人保護・退避や流入する避難民対策などを国家安全保障会議(NSC)で検討していることも明らかにした。あらゆる事態に備えた検討は必要だが、いたずらに緊張感を高めることのないよう配慮を尽くすべきだ。(共同通信・川上高志)

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