加計学園が国家戦略特区の愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画を巡り、松野博一文部科学相は「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」など特区担当の内閣府側の発言を記録したとされる一連の文書が再調査で確認されたと明らかにした。個人メモやメールも含め計14の文書が担当課や個人のパソコンに残っていたという。

 民進党などが入手した文書は19あり、大半が「怪文書」ではなく、文科省内で作成・保存されていたことが裏付けられた。萩生田光一官房副長官から獣医学部新設を認める要件の修正で指示があったようだと記載したメールも新たに見つかった。この修正で、加計学園以外の申請は事実上不可能になったとされる。

 内閣府も調査結果を公表。続いて参院予算委員会の集中審議で野党が追及を強める中、安倍晋三首相は友人が理事長を務める加計学園の学部新設計画について「個別具体的な指示をしたり、働き掛けをしたりしたことはない」と述べた。しかし会期末ぎりぎりまで、まともな調査をしようとせず、幕引きを急ぐ政府に対する不信は根強い。

 否定に否定を重ねるだけでは、疑念を解消することはできない。文書の内容について検証を尽くし、国民がその真偽を見極めるのに必要となる判断材料を十分提供することが求められる。国会が閉じても、閉会中審査で解明を継続すべきだ。

 今回の文書確認で、獣医学部新設に慎重だった文科省に首相周辺や内閣府が設置認可の手続きを早めるよう働き掛けを強めていたとの疑念はより深まった。松野文科相は文書の真偽について判断を示さなかったが、再調査の聞き取りで「総理のご意向」文書などを作成した担当者は「こうした趣旨の発言があったと思う」と話したという。

 その真意まで突き詰めなかったというが、文科省側が押し込まれているとの認識を持ったのは想像に難くない。さらに「萩生田副長官から指示があったようです」とし、加計学園に有利になるよう獣医学部の新設要件が修正された経緯を説明したメールも出てきた。

 要件は最終的に「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限る」となり、事業者は、これに当てはまる今治市で計画を進める加計学園に絞り込まれたと指摘されている。山本幸三地方創生担当相は急きょ内閣府の調査結果を発表し「内閣府から総理の意向とは一切言っていない」とし、修正についても「私が判断した」と述べた。

 だが山本担当相の説明をすんなり受け入れるのは難しい。世論の反発に追い込まれる形で文科省が再調査を表明したときも、内閣府は全く動かなかった。それが一連の文科省文書が出てくると一転、調査を始めた。文書の内容を否定するため調査の体裁を取り繕ったとしか見えないからだ。

 ここで「問題ない」と解明を打ち切るなど許されない。実際に「総理のご意向」があったか、官僚が忖度(そんたく)して動いただけか、そして行政の公正公平が損なわれることはなかったかをしっかり見定めなければならない。

 真相究明に向けて「文書は本物」と証言した前文科次官の前川喜平氏はもちろん、文科省や内閣府などで加計学園の計画に関わった担当者、幹部らを閉会中審査の場に呼び、詳しい証言を求めることが必要になろう。(共同通信・堤秀司)

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