「あっ、この絵いい」。佐賀大学芸術地域デザイン学部で美術史を教える吉住磨子教授(54)は小学高学年のころ、たまたま自宅にあった一枚の絵の写真にくぎ付けになる。「果物かご」という静物画で、リンゴやブドウ、西洋ナシなどが落ち着いた色調で描かれていた◆バロック美術との出合いは運命的だった。後に知ったその画家はイタリアのカラヴァッジョ。「写実的で心奪われるものがあった」という。長じて1980年代の終わりにイタリア・フィレンツェ大学に留学し、導かれるようにバロック美術を学び、後年、専門とすることに◆バロックはポルトガル語で本来「歪(ゆが)んだ真珠」を意味する。古代ギリシャ、ローマ以来の古典主義を「歪めた」と最初は軽蔑的にやゆされた17世紀のイタリア美術◆光と闇、神聖さとは相容れぬ世俗性、劇的…。それらをまとったバロックは、今ではルネッサンスと並ぶ評価を得ている。「バロックの巨匠たち」展がきょう、佐賀県立美術館で開幕する。源流となったイタリアのほかオランダやフランドル、ドイツ、スペインなどの画家の作品が展示される◆レンブラントやブリューゲルなど佐賀ではなかなか見ることができないビッグネームも並ぶ。吉住さんは24日午後2時から会場で特別講演をする。絵を、より深く鑑賞できる話が聞けそうだ。(章)

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