左エンジンのトラブルで羽田空港に引き返した日航6便ボーイング777=5日午後0時54分(共同通信社ヘリから)

■タービンの羽根複数欠損

 5日午前11時すぎ、羽田空港を離陸したニューヨーク行き日航6便ボーイング777で、左エンジンにトラブルが起きたとの表示が出た。エンジン後部から炎が出たことが確認され、日航機は管制官に緊急事態を宣言、羽田に引き返し正午すぎに着陸した。乗客乗員251人にけがはなかった。

 国土交通省によると、エンジン後部にあるタービンの金属製の羽根が複数箇所で欠けていたことが判明。離陸した滑走路上では、機体から落下したとみられる粉々の部品が見つかった。

 日航は当初、鳥が機体に衝突するバードストライクの可能性を示していたが、エンジン内部に衝突の痕跡がなかったことから、その後否定した。エンジンで何らかの不具合が起きたとみて詳しい原因を調べる。

 日航によると、離陸後、左エンジンを停止し、安全に着陸できるよう房総半島沖を旋回中に余分な燃料を放出し羽田に戻った。ボーイング777はエンジンが2基あり、1基が停止しても飛行を続けられる。乗客の大半は別の機体に乗り換え、5日中に羽田を再び出発した。

 国交省によると、日航機は午前11時、4本ある滑走路の一つで、ほぼ南北方向に延びるC滑走路を北向きに離陸した。この直後、同省東京空港事務所職員がモニターで左エンジンから炎が出ているのを確認するとともに、滑走路北端に近い芝生から煙が上がっているのを発見した。点検に向かった事務所職員が砕け散った部品を見つけた。

 日航機のトラブルの影響で、羽田空港を離着陸する航空機数の調整があり、佐賀空港を午後0時25分に出発する予定だった全日空羽田便の出発と到着が1時間ほど遅れた。

■「まさか出火とは」乗客ら驚き、安堵

 離陸後すぐに起きた大きな音と振動、地上から見えたオレンジ色の炎-。日航機が5日、離陸直後にトラブルを起こし、羽田空港に引き返した。「まさか出火していたとは」。乗客からは、驚きと無事着陸できた安堵(あんど)の声が広がった。

 「ドン」。乗客の男性(36)は離陸時に2、3回大きな音を聞いた。トラブルが起きたエンジンとは逆の右側の座席にいたニューヨーク在住のヘアスタイリスト遊佐崇さん(37)は「今まで経験したことのない振動と音を感じた」と証言する。

 空港近くの野球場にいた千葉県茂原市の八代美紀さんは「バーンという連続した大きな音が聞こえて飛行機を見ると、左側のエンジンからオレンジ色の火が出ていたのでびっくりした。低い高度で急旋回し、落ちないかと心配した」と話した。

 離陸から数分後、「エンジントラブルが発生した」「問題ありません」との機内アナウンス。米国での学会に向かうため搭乗した熊本大准教授の小林牧子さん(43)=熊本市=は緊急着陸後「まさか出火していたとは。乗客は落ち着いていたが、乗員はぴりぴりしていた」と振り返った。一方、遊佐さんは「火が出たという情報もなかったが、乗員の対応がスムーズで不安はなかった」と語った。

■異常燃焼で羽根に負荷か

 元全日空機長の前根明氏の話 炎が確認されており、エンジン内部で何らかの異常燃焼が起きた結果、タービンの羽根に高い負荷がかかって飛散した可能性がある。また製造過程でもともと羽根に傷が付いていて、それが金属疲労で飛散し、エンジン内のほかの部品を傷つけ、内部の空気の流れに影響して異常燃焼が起きた可能性も考えられる。同じエンジンを使った航空機が世界中の空を飛んでおり、ほかの航空会社にも影響を及ぼす可能性がある。日航と所管する国土交通省には早期に原因を究明して公表してほしい。【共同】

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