性犯罪を厳罰化する改正刑法は16日、参院本会議で全会一致により可決、成立した。強姦(ごうかん)罪の法定刑引き上げや、起訴するのに被害者の告訴が必要となる「親告罪」規定の削除が柱だ。性犯罪に関する刑法の大幅改正は、明治時代の制定以来約110年ぶり。被害者らが実態に即した法改正を求めていた。7月13日に施行される見通し。

 与党は慣例に反し、改正刑法より2週間遅く国会に提出された「共謀罪」法を先に審議入りさせたため、改正刑法が衆院本会議で審議入りしたのは今月2日だった。参考人質疑は参院法務委員会でしか実施されず、審議時間は計12時間40分。18日の会期末をにらみ駆け足での成立となった。

 改正法は強姦罪の名称を「強制性交等罪」に変更。女性に限定されていた被害者に男性を含め、性交類似行為も対象とする。法定刑の下限を懲役3年から5年に引き上げる。親告罪の規定をなくすのは強姦罪や強制わいせつ罪などで、施行前に起きた事件にも原則適用する。

 家庭内での性的虐待を念頭に、親などの「監護者」が立場を利用して18歳未満の者に性的な行為をすれば、暴行や脅迫がなくても罰する「監護者わいせつ罪」と「監護者性交等罪」を新設。強姦致死傷罪の法定刑の下限も懲役5年から6年に変更する。

 同じ現場で強盗と強姦をした場合は、強盗が先であれば強盗強姦罪、強姦が先であれば強姦罪と強盗罪の併合罪となり、強盗強姦罪の方が法定刑が重かったため「無期または7年以上の懲役」に統一した。罪名を「強盗・強制性交等罪」とする。付則には、施行3年後の見直し規定が盛り込まれた。

 改正刑法は16日の参院法務委で可決。参考人質疑も行われ、父親から性的虐待を受けた経験を持つ山本潤さんは「(改正案でも)被害者が13歳以上の場合、暴行・脅迫の要件を満たさなければ加害者は強姦罪に問われない。残る論点は多い」と指摘した。【共同】

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