澤野善文編集局長(右)の質問に○×で答える高校生たち=佐賀市の佐賀新聞社

司会進行を務めた佐賀新聞社の澤野善文編集局長

参院選で初めて1票を投じる高校生=7月10日、佐賀市の赤松小

参院選佐賀選挙区の市町別18、19歳投票率(%)

 夏の参院選で導入された「18歳選挙権」の成果や課題を探ろうと、佐賀新聞社は県内の高校生7人による座談会を開いた。2月の座談会に参加した生徒を中心に、投票による政治参加の意義や、主権者教育の感想などをテーマに幅広く議論した内容を詳報する。司会は澤野善文・佐賀新聞社編集局長。

■司会進行 澤野善文 佐賀新聞社編集局長

■参加者

7月の参院選で選挙権があった生徒

 弘学館3年 月足亮太さん(18)

 佐賀工3年 中山利也さん(18)

参院選時に選挙権がなかった生徒

 塩田工2年 柴山海都さん(17)

 杵島商2年 川崎志保さん(17)

 杵島商2年 原口雪菜さん(16)

 佐賀工3年 松尾草青さん(18)

 唐津西3年 原沙和子さん(18)

 -参院選までに投票権を得た月足さん、中山さんに聞きます。投票してみてどうでしたか。

 月足 前回の座談会に参加した2月から、新聞などを見て時間をかけて政治について考えてきたが、投票は一瞬で終わってしまった。逆に選挙の大切さを感じたし、安易な気持ちで投票しなくてよかった。

 中山 投票することで私たちの代表が決まり、そのことで政治の在り方も変わるんだと実感できた。1票の重さを感じたが、実際に政治の在り方が変わったとまで思わない。

 -それ以外の5人は、周りを見て参院選についてどう感じましたか。また今後の選挙ではどんな思いで投票したいですか。

 松尾 学校では参院選の話は特になく、いつの間にか終わってしまっていた。今後の選挙では自分の意見に近い候補者を選びたい。

 柴山 まだ2年生で、周囲の関心は薄い。選挙権を得たら、自分にメリットのある政策を掲げているかを調べて投票したい。

 原 教室で選挙の話はしたが、投票の方法などが中心で、政策など難しい話はなかった。

 川崎 クラスでは選挙の話は全くしなかった。3年生の兄が、母や父に相談している内容は耳にした。

 原口 周りで参院選の話は出なかった。自分が投票する番になったら、公約をしっかり調べて臨みたい。

 -参院選での投票の決め手は何でしたか。

 中山 自然環境を良くするなど、住みやすい環境をつくってくれる人を選んだ。

 月足 経済に関心があった。リーマン・ショックの時と比べると、経済は上向いている。それは今の与党が頑張っているということ。このままの状況が続き、もっといい方向に進んでほしいと考えた。

 -他の5人は、何が投票の決め手になると思いますか。

 原口 高齢者の交通事故が増えており、高齢者向けの政策に注目している。

 川崎 自転車で通っている通学路がデコボコしていて危険。生活環境を改善してほしい。

 原 政策だけでなく人格も重要。テレビ越しでも、どんな人かはけっこう分かる。政策が良くても、実行する政治家がいい人でないと意味がない。

 柴山 公約が大事。特にまちが潤う政策を掲げてほしい。

 松尾 候補者は皆、すごくいい意見を言う。重視しているのは、その意見が革新的かどうか。今までになかった取り組みに挑戦してほしいし、その人に投票して任せてみたいと思う。

 -18歳選挙権の導入で、政治は身近になりましたか。

 中山 参院選では、実は候補者についてあまり勉強しなかった。投票する時にそれを実感した。

 月足 住民票がある福岡県での投票になったため、候補者の詳しい情報が得られなかった。社会の動きをしっかりと見ていかないと、ちゃんとした投票ができないと感じた。選挙権があることを自覚するきっかけになった。

 原 選挙という手段が身近になっても政治は変わらない。内容も難しく、自分から調べて一歩近づかないと理解できない。政治を分かりやすくするためには、SNSを活用すべき。例えばなかなか見る気になれない国会中継を、重要な部分だけSNSに流すとか。

 柴山 こういう座談会に参加しているので自分は思うところもあるが、2年生にとって政治との距離は遠い。学校で政治について話す機会を増やしてほしい。

 川崎 選挙権を持ったとしても多分興味は出てこない。それは、自分の1票が政治には反映されないと感じているからだと思う。

 原口 投票の方法は生徒会長選挙でだいたい理解できたが、政治の詳しい部分までは分からない。政治はまだ遠い存在だ。

 松尾 選挙権のあるクラスの友達はほとんど投票に行ったが、話題にはならなかった。意見はあっても、自分だけで判断して投票したんだと思う。

 -自分の1票で政治が変わる手応えはありますか。

 月足 たった1票であり、投票しなくてよかったのではとも思うが、そんな人が集まると結果に大きな違いが出る。積極的に投票に行く価値はあった。

 松尾 投票に行かなければいけないとは思うが、政治が変わる実感はない。友達が「行かない」と言っても、説得しようとは思わない。

 -18歳選挙権の導入で、若者の声が政治に届くようになりましたか。

 川崎 選挙権を持っていないからもしれないが、届いてはいないと思う。

 原 政治に届いた結果がまだ見えてこない。明らかな事例を出していくために、たとえ1票でも投票しないといけない。

 月足 参院選からまだ5カ月しかたっていない。そう簡単には公約は実現できないのでは。

 柴山 生活に変化を感じない。声は届いていないと思う。

 松尾 若者は声を上げていない。大人に甘やかされ、政治には関わらなくていいという考えが根付いてしまっている。意見を出さなくても勝手にやってくれる、という思いがどこかにある。小さい子どもたちから政治に関心を持たせるべきだ。

 -参院選での投票について、友人や家族と話をしましたか。

 中山 身の回りの大人に、投票に行ったことがあるか、どんな気持ちで票を入れたかを聞いた。

 月足 選挙で投票しなかったことは1回もないという両親に、何が投票先選びの決め手になるかを聞いた。「信頼できる人に投票しなさい」とアドバイスしてもらった。

 -米大統領選はトランプ氏が予想を覆して勝利しました。日本の選挙との違いを感じましたか。

 原口 テレビで討論会が報じられていて、選挙では見ることができない姿を見ることができたので、日本より身近に感じた。

 中山 米大統領選は貿易にも影響が出るくらい大きい政治なんだと感じた。それに比べて日本の政治は小さい。米国の方が興味が湧いた。

 松尾 テレビで報道された討論会でいろいろな一面を見られたのが良かった。人柄が分かって支持するかどうか決めやすい。米国は国民が自分の意見をしっかり持っているから逆転があったのかな。

 柴山 日本はじっとりしてるけど、米国はにぎやかな印象があって、米国の方が見ていて面白い。

 月足 クリントン氏の方が投票数が多かったのにトランプ氏が勝ったのが不思議だった。日本の方が数字ではっきりと結果が出るからいいと思う。

 原 米国の人は自分の主張をしっかり持っている。だからこそ1年間かけて選挙をするんだろうな。日本は戦後、米国に支配されていたからか、主張が弱いイメージ。

 -学校で主権者教育を受けてみた感想は。

 川崎 規模が大きいことが分かった。自分の1票がどこにどう反映されるのかが分からない。

 原 主権者教育がなかったら無知のまま社会に出ていたので学べる機会があったのは良かった。でも先生も手探り状態で、個人的なことを言ってはいけないとか、制限があると聞いて大変そう。投票の仕方までは教えられなかったから、後は自分で調べなきゃいけないのかな。

 月足 選挙の1週間前くらいに1回しかやってないから回数を増やしてほしい。信用できる人なのかとかの見極め方を知りたい。

 柴山 正直分からない。まず政党が分からなくて話についていけない。この人に投票したら何が変わるとか実例を交えた説明があると分かりやすいかも。難しい漢字ばっかり並んでて、面白みがない。

 松尾 自分の意見を強く持とうという授業だった。体育館で3時間の授業を数回やっただけだから、政治が特別なものという印象。授業の初めとか短い時間でいいから、何度もやって積み重ねていくことで身近になると思う。

 中山 投票するときの心情を聞けたのが良かった。並べられる単語が難しくて理解しにくかった。どこの党がこれからの政治にどう影響するかとか、自分たちへのメリット、デメリットを知りたい。

 -政治家については、信頼していますか。

 中山 自分勝手な印象がある。特にお金のこととか。ほんの一部の人だと思うけど、政治家にそういうイメージが付いている。

 松尾 信頼は薄い。悪いニュースばかりでいいニュースを聞かないから、誰に投票しても一緒かなと思ってしまう。自分の周りで変化がないから、政治が遠いことのように思える。

 月足 悪いイメージ。社会のリーダーになる人が、信頼して支持してくれた人の気持ちを踏みにじって、何のために投票したのか分からなくなる。そんなイメージを払拭(ふっしょく)するような活動をしてほしい。

 原 信頼してない。不正で捕まって、新しい議員を選ぶのにお金を使って悪循環。人のお金を勝手に使うなんて、幼稚園児でも悪いって分かることをなぜやるんだろう?

 -夏の参院選で県内の18、19歳の投票率は45%で半数に届かなかった。もっと多くの若者が投票に行くにはどうしたらいいかな。

 松尾 習慣にしていくことが必要だと思う。日常会話で政治の話が出るように自分や周りがそういう話を切り出していけるようになれば。先生たちが話を振ったり、親が教えてくれたり。

 中山 身近な人、親から話を聞くことかな。

 月足 生活の中で実感できる政策なら興味を持てると思う。失業者が減ってるとか前向きなことをもっと知れたらいいと思う。

 柴山 興味がないから投票に行かない。でも、小さい頃から教えてもらっていれば行こうと思うかもしれない。投票することによって自分への利害があるかどうか、学費に関する話とか、もっと身近な話題になれば興味が出て、投票に行きやすくなる。

 川崎 親から聞くことが多いから、もっと家族で話す機会を増やしたらいい。

 原口 身近に感じてないから興味が湧かない。講演会とかを身近に感じていければいいと思う。

 原 SNSでの拡散がポイントになると思う。韓国の人が選挙に行って写真をSNSにあげてたように、選挙に行くことが当たり前、ステータスになればいい。広告ではやりの俳優とか2次元キャラクターのポスターだけで終わらないようにしなきゃ。それだけで若者が政治に興味を持つという考えは浅はか。

=18歳選挙権さが=

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