デフリンピックで2大会連続の金メダルを目指す金持義和=唐津市屋内プール

「デフリンピックをもっと大勢の人に知ってもらいたい」と語る金持義和

 7月にトルコで開かれる、ろう者のオリンピック「第23回夏季デフリンピック」に向け、2013年の同大会50メートル背泳ぎで世界新記録(当時)を樹立した唐津商高出身の金持(かなじ)義和(23)=大阪体育大大学院2年、エイベックス所属=が燃えている。2大会連続の金メダル獲得が目標で、「背泳ぎ50、100メートルの両方で優勝し、応援してくれる人たちの期待に応えたい」と意欲を示す。

 日本ろう者水泳協会は1月、デフリンピックの日本代表候補に金持ら男女9人を決定。これを受けて全日本ろうあ連盟が5月に派遣選手を正式決定する。金持は前回大会で4種目に出場し、金メダル1個と銀メダル2個を獲得。15年世界ろう者水泳選手権の背泳ぎで3冠を達成するなど実績十分で、2大会連続の出場が有力となっている。

 金持は唐津市で水泳教室を運営する母カツコさん(53)の影響で水泳を始め、姉、兄と一緒に生後8カ月からプールに入った。聴覚障害が分かったのは小学1年のとき。1歳で発症した髄膜炎の影響だった。左耳は聞こえず、右耳は補聴器を使っている。

 物心がついた時からライバルは一つ上の兄だった。「けんかじゃ勝てないから水泳では負けたくなかった」と黙々と練習。音が聞こえないハンディを克服するため、ピストルの光でスタートを切る練習も繰り返した。中学2年で目標としてきた兄を追い抜くと、高校では県内屈指の選手に成長。インターハイや国体で活躍した。

 大阪体育大に進学してからは、最新のトレーニング法や体の使い方を学び、競技にのめり込んだ。「一番いいポイントで水をつかめば、ぐっと前に進む」と新しいフォームに手応えを感じ、自己ベストを更新するたびに「水泳がもっと面白くなった」という。

 13年のデフリンピック金メダルをきっかけに、翌14年に県スポーツ賞栄誉賞を受賞。現在は同大大学院で人の動作を分析するバイオメカニクスを学びながら、エイベックス所属のプロ選手として競技に打ち込む。

 将来は、ろうの子どもたちにも水泳が教えられる指導者になりたいという夢がある。ただ、今は試合で結果を残すことが優先だ。

 「自分と同じろうの選手や子どもたちの希望となれるように活躍し、デフリンピックをもっと大勢の人に知ってもらいたい」。日本のトップ選手として、ろう者の水泳界を引っ張る責任と自覚が推進力になる。

 ■かなじ・よしかず 唐津五中、唐津商高を経て2012年に大阪体育大に進学。翌13年にブルガリアで開かれたデフリンピック50メートル背泳ぎで世界新記録(当時)を樹立した。現在は、同大大学院でバイオメカニクスを学びながら、障がい者アスリートを支援するエイベックスに所属し、競技と学業を両立している。168センチ、64キロ。唐津市町田出身。

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