「戦争体験の証言記録を今後にどう生かすか、みんなと考えたい」と話す鬼嶋淳佐賀大准教授

■共感、違和感考える契機に

 佐賀新聞社は12日、シンポジウム「刻む 戦時下の記憶を伝えるために」を開く。今年3月まで連載した戦争体験者への聞き書き「刻む」で70年前の紙面を読み解くコーナーを監修し、パネリストの一人となる鬼嶋淳佐賀大学准教授(日本近現代史)にシンポに込める思いを語ってもらった。

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 1年半に及んだ戦後70年企画「刻む」の連載に関わる過程で、過去に数多く紡がれた戦争体験の証言集とどう異なるのか、今あらためて証言を集めることの意味は何なのか考えてきた。

 「刻む」を読むと、私たちの身近な年配の人たちが国内やアジアでさまざまな経験をしてきたことが客観的な事実として伝わってくる。戦場での飢えや病気、特攻、空襲、引き揚げ、抑留-。これらは事実として知られていても、佐賀県の人たちも経験していたということは、教科書を読んでも実感できない。証言の数々は、戦争の時代の貴重な地域資料になったと思う。

 証言は「70年後の記憶」ということも留意したい。証言者は自身の体験を問い直し、次世代に伝え残したいことを語っている。「事実」だけでなく「思い」の継承になっており、現代社会に問い掛けている。

 「昔に起きた出来事」と位置づけ、追悼で終わってしまうと、証言の意義は薄れてしまう。シンポでは、主な証言を映像とともに振り返り、高校生や大学生も交えて今後にどう生かすか議論したい。幅広い世代の多くの人が共感や違和感などさまざまな思いを感じながら、これからを考える契機になればと願っている。

 シンポジウムは12日午後6時半から佐賀市のアバンセで。入場無料。問い合わせは佐賀新聞社編集局報道部、電話0952(28)2121。証言集『刻む 佐賀・戦時下の記憶』は県内主要書店などで発売中で、会場でも販売する。

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