防疫演習で、県職員(右)に補助されながら防護服を着る県建設業協会の会員=10月28日、杵島郡大町町のJAさがみどり地区中央支所

 新潟県と青森県に続き、北海道の養鶏場で16日、高病原性鳥インフルエンザ(H5型)が確認された。食用以外の野鳥などの感染も全国各地に広がっている。

 佐賀県では昨年1月、西松浦郡有田町の養鶏場で発生した。その経験を踏まえ、防疫の強化とともに、万が一、発生した場合の対応をしっかりと確認して備えたい。

 新潟県では11月末、2カ所の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出された。青森県では食用アヒル(フランスカモ)の農場で感染を確認。両県は合わせて約57万羽を殺処分した。新たに見つかった北海道清水町の養鶏場では17日、飼育していた約21万羽の殺処分が始まった。

 食用以外でも、今季は各地で野鳥などの感染が見つかっている。北海道のオオハクチョウ、鹿児島県のナベヅルのほか、動物園で飼育されている鳥や野鳥のふんから検出するなど確認事例が広がっている。環境省のまとめによると、この冬の検出事例は、過去最多だった2010~11年のシーズン(62件)を上回っている。

 こうした状況を受け、佐賀県内の関係機関も警戒を強めている。新潟、青森両県で確認された直後、佐賀県は緊急防疫対策会議を開き、予防策の徹底や発生時の速やかな通報と対応を確認した。素早い反応に有田町の経験が生かされていることがうかがえるが、当面は警戒を緩めずに万全を期してほしい。

 県内の養鶏場は149農場。出入り口で消石灰を散布したり、野鳥やネズミなどの小動物が鶏舎内に侵入しないようにネットを張ったりして予防している。県は24時間、いつでも養鶏農家からの通報を受けられる態勢にしているが、少しでも早く異常に気づけるよう巡回、監視の強化も欠かせない。

 有田町で発生した際は養鶏農家からの通報が早かったため、初動が迅速に進んだという。県内初の発生に、現場では多少の混乱はあったものの、24時間以内に殺処分、72時間以内に埋却処分を終了。延べ5千人以上が関わって感染拡大を防いだ。初動の重要さを改めて認識しておきたい。

 県は有田町の経験も踏まえ、今年7月に運輸や建設業界など10団体と防疫協定を結んだ。10月には県建設業協会なども参加して防疫演習を行い、初動から殺処分までの作業を検証した。感染拡大を防ぐ「封じ込め」の作業は何よりも重要であり、連絡体制、人員や資機材の確保、作業手順などの確認を怠らないようにしたい。

 いったん発生すれば、養鶏農家だけでなく、交通や物流、観光など県民生活にも影響が出る。目に見えないウイルスが相手だけに、警戒するにも大きな負担を強いられるが、関係機関の連携を密にして対処したい。(大隈知彦)

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