■10年間開催装う/日当水増しも

 三養基郡上峰町で農地の維持管理をしている地域住民組織が、国への交付金申請に必要な活動計画を決める総会を、2007年度の発足時から一度も開いていないのに開催したように装って運営していたことが17日、分かった。交付金を基に支払う作業日当などを一部役員が台帳上で水増しして差額分を得ていた疑いも出ており、実態の調査に向け、区長や住民有志が臨時総会の開催を求めている。

 組織の代表の男性は佐賀新聞社の取材に対し、総会を開いていなかったことを認め、会計上の事実関係は7月にも住民側に説明するとしている。事業計画の認定や指導をする町は、本年度分の交付金の執行を停止する措置を取っている。

 問題になっているのは「大字堤地区農地・水・環境向上活動協議会」。農地など地域資源の保全管理を目的に、全国に2万8千以上ある住民組織の一つで、農林水産省の交付金を受け、ため池の補修、田畑や周辺の草木伐採に取り組んでいる。田んぼ62ヘクタール、畑9・4ヘクタールの保全管理を担い、16年度までの10年間に約3700万円の交付金を受けている。会員数は約50人。

 住民の一人が、総会が開かれていないことを不自然に思い、町と県農地・水多面的機能推進協議会に今年4月、情報開示を求めた。その結果、大字堤地区協議会が町に提出した報告書には各年度に1回、総会を開いたように記述されていた。この住民は「総会は構成員の過半数の参加が必要だが、実際は役員だけの会合」と主張。知らないうちに構成員に加えられていたことも問題視している。

 また、14~16年度にかけ、活動地域の船石地区での作業日当や草刈り機の拠出代として支払われた実際の金額に比べ、台帳の額が多いことも情報開示で分かった。別の住民は「押した覚えがない印鑑が台帳に押されていて驚いた。作業をしていないのに、参加して日当をもらったように処理されていた」と、水増しの可能性を指摘した。

 この件で協議会副代表の男性は、5月末の船石地区での集会で「地区に毎年、協議会から支出している15万円という金額に合わせるため、私が細工した。作業に参加していない人の日当など、支払ったことになっている計7万5千円は預っているが、後で精算するつもりだ」と説明した。

 協議会代表の男性は取材に「総会を開いていないのは悪かった。勤め人ばかりで、集まってもらえないと思った」と釈明し、「7月に総会を開くつもり。会計簿や事業資料を全て提出して説明したい」と述べた。

 交付金の申請には活動計画が必要で、策定を巡っては総会での議決が求められている。実質的な窓口となる町産業課は、総会の実態がないのにも関わらず交付金を支給していたことについて「町内には同様の組織が16あるが、いずれも職員が総会に出向くわけではない」とチェックが及んでいない状況を説明する。

 九州農政局農地整備課は「構成員の合意形成が一番なのに、10年間それがなかったというのは問題。事実関係の確認が必要だが、報告された目的以外に交付金が用いられていれば、返還してもらうことになる」と話している。

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