■効率性、優先順など論議
高度成長期に造られ、更新・修繕時期を迎える道路や橋をテーマに、「インフラ老朽化を考えるシンポジウム」(佐賀新聞社、県建設業協会主催)が17日、佐賀市のアバンセで開かれた。人口減少に伴う税収減で予算が限られる中、「長寿命化」などの観点から早めの補修や計画的なインフラ整備の必要性を論議した。
熊本日日新聞社編集委員兼論説委員の毛利聖一氏が昨年4月の熊本地震を踏まえ基調講演した。6自治体の庁舎が損壊して使用不能になり災害対策の指揮が混乱した点を強調。防災拠点や避難所、医療機関を最重点施設と位置付け、「大災害時、インフラは命に直結する。庁舎の耐震補強が財政難で後回しになってきたが、優先順位を見直す時期に来ている」と指摘した。
パネル討論には4人が加わり、和泉惠之県土整備部長が橋や河川管理施設の老朽化が加速度的に進む現状に触れ「ダメージが軽いうちに補修すればコスト軽減につながる」と効率的な対策の必要性を挙げた。県建設業協会の松尾哲吾会長は、劣化状況がさまざまな補修は新築より技術が必要になるとし「設計段階から業者を入れ、施工しやすい方法を考えたい。専門家の育成も急務だ」と語った。
佐賀大大学院の石橋孝治教授(都市工学)は「修繕の優先順位を付けることを理解してほしい。住民が橋の劣化を見つけて行政に知らせる長崎のように総力戦で挑もう」と呼び掛けた。コーディネーターを務めた佐賀新聞社の大隈知彦報道部長は「今日が本格化する対策の出発点になれば。先延ばしせず、着実に取り組んでいこう」とまとめた。
シンポは市民ら約200人が聴講した。