■崩れると多くの不具合

 外来をしていると、しばしば姿勢の大切さについてお話しすることがあります。胃もたれ感の強い方、頑固な便秘の方、慢性の腰痛に悩まれている方など、症状は違えど姿勢の悪さが影響している場面はたくさんあります。

 姿勢を保つ中心となる背骨は、首の部分ではやや前湾(前にそっている)、胸部で後湾し、腰の部分で前湾と緩やかなS字カーブを描いています。この自然な湾曲によって、重たい頭部や体重が背骨の特定の部分に集中しないように分散されています。さらにこの背骨を支える背筋群やお腹の中の背骨を支える筋肉、腹筋などがお互いに助け合いながら姿勢を保ってくれています。

 その自然な姿勢が崩れることによって体にはさまざまな影響が現れます。例えば前かがみになると、胸郭や横隔膜の動きが制限され、しっかりと空気を吸う動きが妨げられます。また、お腹の中にある胃や腸も圧迫され、これらの運動や血液の流れが悪くなったり、胃液が食道に逆流する原因ともなります。

 さらに、姿勢を支える筋肉群はその姿勢を保つことにより日々鍛えられ、しっかりと正しい姿勢を保つ力を蓄えていきます。もし、前かがみやだらっとした姿勢ばかりしていると、背骨を支える筋肉群が鍛えられず、正しい姿勢を取ろうとしてもすぐ疲れてしまい、結果として背筋や腹筋が弱っていくという悪循環に陥ってしまいます。

 姿勢の悪さは精神的にも影響を与えることもよく知られています。前かがみで生活することによりどうしても視野が下方にいってしまい、内向的になってしまったり、偏った姿勢からくる慢性の腰痛などによるストレスや不眠症にも影響することがあります。

 健康的な生活には、食生活、運動、適切な睡眠も重要ですが、日々の自分の姿勢を見直すことはとても重要です。きちんとした姿勢は子ども時代につくられます。家族全体で考えてみていただきたいと思います。(佐賀大医学部附属病院 検査部長・末岡榮三朗)

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