新潟県の東京電力柏崎刈羽原発

原子力規制委の定例会合で発言する田中俊一委員長=6日午前、東京都港区

■東電で初、福島と同型  

 原子力規制委員会は6日、定例会合を開き、東京電力が再稼働を目指している柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の審査を巡り、事実上の合格証に当たる審査書案を13日に了承する方針を決めた。審査申請から約4年。2基は福島第1原発と同じ沸騰水型原子炉で、事故を起こした東電の原発が審査に合格する見通しとなったのは初めて。沸騰水型でも初となる。

 審査書案が了承されると通常、一般からの意見募集を経て2~3カ月で正式合格となる。ただ新潟県の米山隆一知事は再稼働に慎重な姿勢で、地元同意の判断までに「3~4年かかる」としており、再稼働時期は見通せない。

 規制委はこれまで、東電の原発事業者としての適格性を疑問視していたが、6日の定例会合では一転して「第1原発事故の経験はプラスになる」と評価した。13日は、18日に退任する田中俊一委員長が出席する最後の定例会合。退任直前の方針転換には、国民から「再稼働ありき」との批判が出る可能性がある。

 6日の会合で、田中氏や更田豊志委員長代理は「事故は他の電力会社でも防げなかった」「事故の責任と(安全を確保する)技術力は別問題」などと発言。田中氏は記者会見で「(東電の適格性を)積極的に否定するような委員の意見はなかった」と述べた。

 柏崎刈羽6、7号機の審査を巡っては、規制委は7月、小早川智明社長ら東電経営陣を呼び、田中氏が「第1原発の廃炉を主体的に取り組めない事業者に再稼働の資格はない」と批判。第1原発で増え続ける汚染水処分の具体策などを文書で回答するよう求めた。

 東電の回答文書は汚染水処分について具体的な記述はなかったが、規制委はその後の経営陣との面談で、廃炉をやり遂げる覚悟が表明されたと理解を示した。

 6日の規制委の会合で回答文書に関し「東電の責任を将来まで明確にした意義は大きい」と評価。一方で「きちんと約束が果たされるための(法的な)仕掛けが必要だ」との意見も出た。

■沸騰水型で初のクリア

 国内の商業原発は「沸騰水型」と「加圧水型」の2種類あり、事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型では初めて、東電柏崎刈羽6、7号機(新潟県)が原子力規制委員会の審査をクリアする見通しとなった。新規制基準の策定から4年余り。これまで合格した6原発12基はいずれも加圧水型だった。

 規制委は2013年7月に第1原発事故を教訓に新基準を策定。同月に早速、審査を申請したのは、加圧水型の6原発12基だ。加圧水型の審査は、日本原子力発電敦賀2号機(福井県)と北海道電力泊1~3号機以外は全て合格。九州電力川内1、2号機(鹿児島県)を皮切りに、四国電力伊方3号機(愛媛県)などが再稼働している。

 片や沸騰水型は、新基準で新たな安全設備の設置を求められたことなどから申請が遅れた。東電も柏崎刈羽6、7号機の13年7月申請を目指したが地元・新潟県が強く反発したため、同9月にずれ込んだ。

 沸騰水型はこれまで、柏崎刈羽を含む8原発10基が審査申請したが、電力会社側が作成した資料が不十分だったり、立地の地盤が悪かったりと審査が進まなかった。

 優先審査の対象になった柏崎刈羽も終盤、東電が免震重要棟の耐震性不足を規制委に報告していなかったなど不祥事が発覚し、優先審査が取り消される事態に。事故を起こした会社であり、原発を動かす適格性があるかも焦点になった。

 ■駆け込み容認に違和感

 東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)について、原子力規制委員会は田中俊一委員長が退任する直前の13日に事実上の合格証に当たる審査書案を取りまとめる方針だ。2基に対し安全の「お墨付き」を与えることになるが、福島第1原発事故を起こした東電への国民の目は依然厳しい。

 東電の事業者としての適格性を厳しく問いただしてきた規制委だが、駆け込み的に再稼働を容認しようとする判断には違和感が残る。方針転換だとの批判に、田中氏は「(これまでの発言の)言葉尻を捉えている」と反論するものの「第1原発の廃炉を主体的に取り組むことができない事業者に再稼働は認めない」などと再三述べてきた自身の言葉の重みを顧みてほしい。

 第1原発で増え続ける汚染水についても、田中氏は東電に明確な処分策を示すよう求めてきた。8月末の東電経営陣への意見聴取では追及せず、現時点で東電に具体策を求めるのが困難だとしても、せめて「いつまでに、どのように方針を明示するのか」と迫るべきだった。

 原発の安全確保に努めるとした東電経営陣の宣言を「社会への約束でもある」と重んじる規制委だが、今後、東電を信任したことへの説明責任を果たさなければならない。【共同】

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