2017年度末までに待機児童をゼロにするとした政府目標を巡り、安倍晋三首相が事実上の断念を表明した。働く女性が予想以上に増えたことを強調したが、預け先のない親にとっては死活問題で、怒りの声が上がる。保育所整備の厳しさを知る自治体や事業者は見通しの甘さにあきれ顔だ。

 「期限まで1年以上あるのに…。首相は投げ出すのが早すぎる」。1歳の長男がいる横浜市の女性会社員(36)は憤る。4月からの職場復帰に向け、七つの認可保育所に申し込んだが、1次選考は全滅。管理職への道は諦めかけている。「日本中に待機児童があふれる今の状況では、女性が活躍できるはずがない」

 福岡県太宰府市の担当者は「やっぱりそうですか」と話す。市は17年度末の待機児童解消を目標に、約1300人分の受け皿を整備してきた。「ほぼ予定通り整備できたのに、次々申し込みが来て追い付かない」といい、計画の見直しを余儀なくされている。

 保育士不足は太宰府市でも深刻で、17年度から政府が実施する月4万円の給与上乗せ策にも「十分な額とは言えない。独自に上乗せしている近隣自治体に保育士が流れてしまう」と頭を抱える。

 近隣住民の反対が保育所整備の足かせとなるケースもなくならない。名古屋市の社会福祉法人「済聖会」は、今年4月に予定していた2カ所の認可保育所開設を断念した。戸別訪問や説明会を重ねたが「子どもの声がうるさい」「路上駐車や事故が心配だ」と反対された。担当者は「民間レベルでの用地確保は至難の業。政府はより実効性のある対策を打ち出してほしい」と訴えている。【共同】

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