よく「スポーツはメンタル(精神力)」といわれる。肉体、技術だけでは勝てず、メンタルの強さがあって成功する。リオ五輪でメダルを手にする選手を目にしても、それが頭をよぎる◆イチロー選手の非凡な打撃を支えているのも強靱(きょうじん)な精神力だ。有名な「ルーティン」も、同じ行動を繰り返すことで心の落ち着きを呼び込んでいる。以前は朝昼兼用にいつもカレーを食べていたのは、よく知られた話だし、試合前のストレッチ、試合後のグラブ磨きと寸分の狂いもない◆野球に影響しかねない「不確定要素」をできるだけ排除したいのだろう。イチロー選手が史上30人目の米大リーグ通算3千本安打を達成した。米国に来た27歳から15年間で積み上げた数字ということに感心する◆3千本を記録した過去の選手の多くが20歳前後でデビューしている。同じ頃から活躍していたら、今ごろ何本打っていただろう。これからどんな記録を生み出すのか。4千本安打、50歳現役…。考えただけでも心が躍る◆達成後の記者会見で、感謝する人に元オリックス監督の仰木彬さんの名を挙げていた。イチロー選手の熱望を聞き入れ、大リーグ行きを決断し送り出した人だが、この人がいなければ今日はなかったという。恩人への敬慕の気持ちを持ち続けていることも、彼の精神を支えているのだろう。(章)

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