防衛省が自衛隊の装備に使える中小企業の技術がないか調査に乗り出したことが14日、同省などの内部文書で分かった。装備の調達はこれまで防衛産業の大手企業に依存していたが、防護服向け繊維の開発など中小企業の技術に着目、軍事転用の裾野を広げる。先端技術を国内の防衛分野で活用することで、高い関心を持つ米国や中国などへの売却、流出を阻む狙いもある。一方、産業と防衛の接近が進むことに懸念も生じている。

 米国防総省もすでに日本企業の技術調査に着手しており、民間技術を軍事分野でも使う「デュアルユース」の動きが日米で加速している形だ。

 調査の対象は大手防衛メーカーの下請けに入ったことがない中小企業。内部文書によると、防衛省は2016年12月に東京都内で中小企業を対象に製品展示会を開いた。参加企業は経済産業省を通じて募り、繊維の他、精密加工などの分野から10社が参加。防衛省の装備調達担当者、自衛隊の陸上、航空幕僚監部関係者が出席した。

 防衛省側は防護服などに利用できる耐久性の高い繊維や、3Dプリンターなどについて提案を受けた。内部報告書は開催目的について「防衛産業に関わりがなかった高い技術を持つ企業を発掘し、防衛事業への参入機会を創出する」と説明した。

 防衛省は取材に「優れた技術を持つ中小企業と協力を進めることは高度な装備品や防衛産業の活性化に極めて重要と認識している」と回答した。

 防衛省は15年度に企業や大学の技術研究を資金面で援助する制度を始めた。16年に策定した「防衛技術戦略」では、民間分野から自衛隊の装備に効果的な技術や人材を活用することが重要としていた。

 民間技術を巡っては、米国防総省関係者も16年末に東京都内で中小企業を含む約60社に接触し、米軍装備に採用できるかどうかを調査している。【共同】

 ■デュアルユース技術 民間と軍事の両方の分野で使える技術。原爆に使われた一方で発電にも利用される原子力や、もともと米軍が開発し現在では生活に浸透している衛星利用測位システム(GPS)などが代表例とされる。民間の企業や研究機関で積極的に開発が進められたロボットが近年、軍事転用も進んでいるように、技術に民間と軍事の境目をつけにくくなっている。

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