女性問題で経済産業政務官を辞任した自民党の中川俊直衆院議員に対し、与党内で辞職論が浮上した。閣僚らの不適切な言動が相次ぐ中、安倍政権はこれ以上「緩み」批判が拡大すれば政権運営に支障を来すとして、早期収拾を図りたい考えだ。安倍晋三首相の任命責任が重い閣僚は徹底的に擁護して「辞任ドミノ」を防ぎつつ、若手は突き放して距離を置く二極化した対応も鮮明になりつつある。【共同】

 「しっかりおやりになったら良かったのに、と思うだけだ」。自民党の二階俊博幹事長は20日、安倍首相と官邸で会談した後、記者団に中川氏の問題について問われても言葉少なだった。

〈2回生ばかり〉

 首相周辺は「政務官辞任で一区切りだ。早く収束してほしい」と期待を寄せるが、与党幹部は「早く出直した方が本人のためだ」と自発的な辞職を要求。自民党内には「中川氏を守ろうとすれば自分も傷つく」(幹部)との空気が広がる。

 若手に対する安倍政権の厳しい対応は、中川氏に限った話ではない。先月は台風被災地を巡る問題発言で務台俊介内閣府・復興政務官を事実上更迭した。

 2015年、知人との金銭トラブルが報じられた武藤貴也衆院議員が離党。昨年は宮崎謙介衆院議員が女性タレントとの不倫報道を認め、議員辞職した。いずれも衆院2回生で、公明党幹部は「どうして2回生ばかり問題が続くのか」と頭を抱える。

 一方、政権は閣僚には寛大だ。大阪市の学校法人「森友学園」問題に関する答弁を撤回、謝罪した稲田朋美防衛相について、首相は「今後とも職責を全うしてもらいたい」と明言した。

 東京電力福島第1原発事故を巡る発言で批判を浴びた今村雅弘復興相や、外国人観光客への対応を巡り「がんは学芸員」と放言した山本幸三地方創生担当相についても更迭の動きはみられない。

〈誰でも当選〉

 野党は中川氏に対し「国会議員以前に人間として許されない」(共産党の小池晃書記局長)と批判。民進党の小川敏夫参院議員会長は記者会見で「今は自民党に勢いがあるから、手を挙げれば誰でも当選してしまう。玉石混交だ」と、自民党の候補者選定に矛先を向けた。

 民進党は辞職に追い込み、10月に中川氏の地元の衆院広島4区と、議員死去に伴う愛媛3区の2補選に持ち込みたい考えだ。昨年4月の2補選では、自民党は不倫が発覚した現職の議員辞職に伴う京都3区で不戦敗を選択。北海道5区でも野党統一候補が善戦した「成功体験」がある。民進党幹部は「補選で勝てば蓮舫執行部が浮上するきっかけになる」と期待を込めた。

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