少子化により、日本全体としても地域単位でも人口が減少し、地域や故郷を守る人が足りなくなると予想されます。学校も病院も農業も道路や水道も、担い手がいなければ維持できません。

 たくさんのご夫婦が子どもを持ちたいと望んでいるのにもかかわらず、なかなか授からない現状があります。2015年の統計によると、日本で不妊について心配したことのある夫婦は35%、実際に不妊検査、治療を受けたことのある夫婦は18.2%で、5.5組に1組とかなり高い割合となっています。

 クリニックにもたくさんの方が不妊の相談で受診されます。不妊の原因になる排卵障害、卵巣機能低下、卵管閉塞(へいそく)、精子減少などがないか検査したり、排卵のタイミングをお知らせしたりします。そのような治療で妊娠されない方は人工授精や体外受精、顕微授精へと治療を勧めることもあります。

 人工授精以上の治療には保険がきかず、経済的に負担がかかります。不妊症は原因不明や加齢などで根本的な対処が難しいことも多く、どのような治療をどれだけしたら赤ちゃんを授かれるという見通しが立たず、そのことも当事者を苦しめます。

 仕事や育児、介護で忙しい方はなかなか自分のことに手が回りません。食事、運動、睡眠などの生活習慣は乱れがちで、社会的ストレスに加え、不妊ストレスも重なり悩んでいる多くの女性がいます。

 夫は仕事で帰宅が遅く、疲れがたまっていて、家に帰ると寝るだけで精いっぱい。夫婦の時間や、これからのことについて落ち着いて話せる状況ではないと言われる方もいます。

 これから産まれる赤ちゃんは、次の社会の担い手です。私たちみんなの未来である赤ちゃんが、望んでいるご夫婦のところにたくさん産まれてくれるように、若い人たちにも働き方改革が必要ですし、気軽に相談できるような職場や周囲の人々の雰囲気も大切だと感じています。

(すこやか女性クリニック院長 西岡智子)

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