正午に合わせて黙とうをささげる平和祈願祭参列者や神職=佐賀市の県護国神社

戦没者の追悼や平和への願いを込めて鐘を突く参加者=佐賀市呉服元町の願正寺

平和への思いを込めて「月光」を弾く古澤晃希さん=鳥栖市のサンメッセ鳥栖

「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法を、治安維持法と重ねて危険視する津留雅昭弁護士=佐賀市の自治労会館

 終戦の日の15日、佐賀県内でも戦没者を追悼し、平和を祈る催しが各地で開かれた。大戦の終結から72年がたち、生き証人の高齢化で証言を直接聞く機会が細る中、後世に戦争の惨禍を語り継ぐ意義をあらためて考え、不戦の誓いを新たにした。

■戦没者の霊慰める 県護国神社

 佐賀市の佐賀県護国神社では平和祈願祭が執り行われた。遺族ら約80人が参列して県出身の戦没者の霊を慰め、平和の尊さをかみしめた。

 全国戦没者追悼式のラジオ中継に合わせて正午に黙とうし、玉串をささげた。徳久俊彦宮司は「国のために亡くなった方々に追悼の誠をささげるのは国民の務め。世界平和を祈る祭りを後世に伝えていく」とあいさつした。

 遺族の高齢化が進み、県遺族会は今年3月、孫やひ孫の世代でつくる青年部を立ち上げた。副会長の山口貢さん(78)=佐賀市=は「私たち遺児は高齢化が進んでいるだけでなく、戦争の記憶も遠くなりつつある。若い世代に平和への思いを引き継いでもらいたい」と述べた。

■平和の鐘打ち不戦誓い合う 佐賀市で50人

 佐賀市呉服元町の願正寺では、市内のガールスカウトとボーイスカウトが「平和の鐘」を鳴り響かせた。保護者らを含め約50人が参加し、戦争を二度と繰り返さないと誓い合った。

 正午から1人ずつ鐘を突き、戦没者を追悼した。市スカウト運動推進協議会の石井二三夫副会長(80)は「世界に紛争やテロが絶えない状況があるけれど、みんなは絶対に戦争を起こさせないという決意を持って」と呼び掛けた。参加した織田一穂さん(17)は「平和の尊さや、戦争をしない、させないということを自分たちから伝えていくべきだと思った」と話した。

 願正寺の前住職の熊谷勝さん(86)は「世界には、互いに仲良くなれるはずなのに傷付け、殺し合う現実がある。戦争を軽く考える傾向がある中、その悲惨さや平和の大切さを肌で感じてもらえれば」と強調した。

■先人の思い「月光」にのせ 鳥栖高生“特攻ピアノ”演奏

 鳥栖市のサンメッセ鳥栖では、太平洋戦争末期に音楽学校の生徒だった2人の特攻隊員が今生の別れに弾いたとされるドイツ・フッペル社製のピアノを演奏するコンサートがあり平和への願いを新たにした。

 来場した市民ら約100人で黙とうをささげた後、鳥栖高1年の古澤晃希(ふるさわこうき)さん(15)がベートーベン作曲「月光」全楽章を演奏した。古澤さんは昨年のフッペル鳥栖ピアノコンクールジュニア部門Aコース中学生の部で1位になった。

 ピアニストを目指している古澤さんは戦争末期の話を題材にした小説を読み、同じ夢を抱いていた青年のことを想像しながら4月から練習してきた。「自分が特攻に行けと言われても行きたくないし、そんな覚悟もない。現代との差を感じた」と振り返り、「きょうは先人たちが託された平和への思いを感じながら表現しました。自分なりにいい演奏ができた」と話した。

■「共謀罪」、改憲社会に危機感 佐賀市で弁護士講演

 佐賀県平和運動センターは、平和の集いを佐賀市の自治労会館で開いた。組合員ら90人が参加し、不戦への思いを共有した。

 「戦争への道を許さない福岡県フォーラム」代表の津留雅昭弁護士が講演し、戦前の治安維持法を「数年のうちに時代が暗転し、一気に戦争へと流れ込んだ元凶」と非難した。

 その上で、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法や、近年に成立した特定秘密保護法、安全保障関連法などを踏まえ、「軍事力で抑え、情報を奪う。社会のシステムが戦前の様相に似通ってきている」と危機感を示した。

 安倍首相が目指す憲法改正にも触れ、現行の9条の戦力不保持と、9条に自衛隊を明記する案が整合性がとれるのか疑問を呈した。「目くらましのやり方ではなく、本質を議論すべき」と求めた。

このエントリーをはてなブックマークに追加