俳優の石田純一さん

九州医療センター免疫感染症内科の高濱宗一郎医師

佐賀大学医学部附属病院感染制御部の青木洋介教授

浄誓寺の僧侶古川潤哉さん

■エイズは「不治の病」ではない

 石田  エイズとHIV、混同されがちですが。

 高濱  HIV(ヒト免疫不全ウイルス)はウイルス名であって、エイズ(後天性免疫不全症候群)とは別。例えば、高血圧はそれ自体が病気なのではなく、高血圧によって腎臓や脳などに疾患が起こる。それと同じで、HIVによって免疫力が落ち、エイズを発症する。HIVが体内にあっても、エイズ発症につながらなければ問題は無い。

 古川  ここで、高濱先生にHIV感染の現状をご説明いただきます。

 高濱  以前はエイズを発症すると、日和見感染などで亡くなる例が多く、発症期の平均寿命は約1.3年でした。しかし、例え発症してもHIVを抑制する投薬治療を行えば、免疫は回復させられます。1990年代には年間約100人いたエイズの死亡者数も、今は20人程度。エイズはもはや寿命を縮める病ではなく、治せる病気です。

 石田  「エイズ=不治の病」という固定観念があったので、医療の発達によって治るようになったという事実は驚きですね。

■日常生活での感染「ありえない」

 石田  感染を防ぐ手だてとしては、まずコンドームでしょうか。

 高濱  感染経路の約8割は性感染症、そのうち6割が同性間性交渉です。コンドームを性交渉の最初から最後まで装着することで、感染リスクを最小限にとどめることができます。

 石田  食べ物の回し食いなどでHIV感染する可能性は。

 高濱  まずありえない。感染ルートとなるのは精液、膣分泌液、血液、母乳。唾液もバケツ一杯飲めば感染するかもしれませんけどね。

 青木  蚊を媒介した感染についても、「10万匹に一度に刺されたら感染するかも」という程度。日常生活でうつる可能性はまず無い。

 古川  私たちはよく知らないがために、過剰に警戒し過ぎている。大人は80年代の「エイズパニック」の記憶を引きずっているし、普段からエイズ、HIVについて学ぶ機会も乏しい。

■保健所なら無料・匿名検査

 古川  石田さんは、エイズ検査を受けたことがありますか。

 石田  結婚する時には、他の病気も含めて必ず血液検査を受けています。数回結婚してますが…(笑)。

 古川  なるほど。他の病気も含めた検査なら、エイズの項目にチェックを入れるだけですからね。

 高濱  エイズ、HIV検査は保健福祉事務所で無料かつ匿名で受けられます。検査実施日に会場へ行き、血液採取すると約1時間で結果が出ます。

 石田  HIVは検査をすれば早期治療、進行抑制につなげることができますよね。放っておくと自分自身も病に冒され、感染拡大にもつながってしまう。放置は結果的に罪になる。

 古川  検査を全く受けていない人よりも、検査をきちんと受けている人の方が(他の病気も含めて)性交渉での安全度は高い、という意見もある。「検査を受けていない状態が異常である」という意識を持たないと。

■理解は「優しさ」

 古川  性教育の現状について思うことは。

 石田  昔、月経について女子生徒だけ授業を受ける時間がありましたが、男子だって受けるべき内容。相手を思いやり、理解するためにも、互いの体を知るべきです。

 古川  男女分けて教わるから、互いに恥ずかしいものだという意識を持ってしまう。

 石田  妻が月経痛で具合悪くしていれば、話を聞いて理解しようと努めます。聞くのは恥ずかしいことじゃなく、優しさですから。

 古川  性の話題もエイズ、HIVもそうですが、コミュニケーションによって相談しやすい環境ができると、孤独を防ぐことができる。

 青木  我々医師が思う以上に、患者側は感染症にかかることを恥だと感じている。そうした心境を理解した上で、検査を勧めたり、思いやることが必要と思います。

 石田  知識を得れば偏見は無くなっていくし、間違った知識で損をしてはいけない。エイズは治せる、HIVはセーブできる。正しくHIV、エイズを知り、迷信じみた不安が広がることを防いでいければ。

【特集 AIDS文化フォーラムin佐賀】
AV男優・森林さん セックスのリスクとよろこび
HIV感染者・洪さん講演 周囲の無理解、生きづらさに

【登壇者】

・石田純一(俳優、タレント)

・青木洋介(佐賀大学医学部附属病院 感染制御部)

・高濱宗一郎(九州医療センター 免疫感染症内科)

・古川潤哉(浄土真宗本願寺派僧侶 浄誓寺・伊万里)

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