世界中の子どもたちに愛されているウサギの女の子「ミッフィー」はどの絵もカメラ目線のように正面を向いている。生みの親のオランダ人作家ディック・ブルーナさんは「登場人物たちには読者とまっすぐ、正直に向き合ってほしい」と自著に理由を書いている◆1つのシーンを描くために百枚ほど描き、たった1枚を選んだ。涙も最初に3、4粒描いてから1粒ずつ消した。残った1粒が最も悲しみを表すと考えた。誰も気づかないようなこだわりが子どもたちの心の奥底に届いたのだろう◆親日家でもあり、3年前には唐津市の図書館で特別展を開いた。東日本大震災の時には大粒の涙をこぼすミッフィーの絵を送っている。悲しみを分かち合いたいという思いだけでなく、これからの希望を塗り込んでほしいとの考えから、色なしの真っ白なミッフィーだった◆シンプルな画風は見る人の想像力を奪わないようにとの配慮だ。大人は自分の価値観を子どもに押しつけがちだが、もっと好奇心や感受性を信じようというメッセージもあるのだろう◆ミッフィーにも悲しい物語はある。彼女が大好きなおばあさんが死んだ話だ。「ハッピーエンドだけではない。つらいことがあっても人生は続くと伝えたかった」。たくさんの愛情あふれる絵本を残したブルーナさんは89歳で天国に旅立った。(日)

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