民進党の岡田克也代表が9月の党代表選に不出馬表明し、後継争いが本格化している。前身の民主党は2012年12月に下野してからは国政選挙で「安倍自民」に大敗が続く。代表選では党再生の道筋を示すことができるか、また“表紙”を変えるだけに終わるのか。政策論戦で党の存在感を示せるかにかかっている。

 野党共闘で臨んだ7月の参院選は改選議席から大きく減らした。非改選も加えれば、自民党や公明党、おおさか維新の会などを加えた改憲勢力に衆参どちらも3分の2以上の議席を与える選挙結果となった。戦後初めての状況で憲法改正が現実味を帯びている。

 「3分の2を取らせない」と訴えて選挙に負けた以上、野党第1党の岡田代表の責任は重い。一方で自民が強いと言われた地方の1人区で「11勝21敗」と議席をとれたことは健闘とも言える。野党共闘がなければ難しかっただろう。

 決定的なミスはその後の都知事選にあったのではないか。都政について具体的な政策をほとんど持っていなかったジャーナリストの鳥越俊太郎氏を知名度優先で、党内手続きも不透明なまま擁立した。政策を置き去りにする党の姿勢に不信感を持ったのは都民だけではないだろう。

 もう一度思い出してほしい。前身の民主党はどちらかといえば、自民党以上に、故橋本龍太郎首相が進めた行政改革や財政再建路線を強く意識した「改革政党」だった。ばらまきを改善できない自民党に見切りをつけた官僚ら若く優秀な人材が集まり、それが党の足腰の強さとなった。

 新しい政治のあり方を「マニフェスト」(政権公約)として掲げ、もう一つの政権の受け皿があると政権交代の現実味を示したからこそ、保守票が流れ込んだのではないか。

 残念ながら今の民進党にはアベノミクスに代わる政策の柱を示すことができていない。政府をチェックし、問題点を批判することが野党の大事な責任ではあるが、それだけで有権者の過半数の支持は得られない。政権に返り咲いたときに何をやるのか。遠回りとなっても時間をかけ議論すべきだ。

 党内はすでに代表選に向け、さまざまな動きが出ている。参院議員で党代表代行の蓮舫氏が出馬表明している。岡田代表の野党共闘路線を引き継ぐ考えを示しており、党内の主流派が支援すると言われている。代表に選ばれれば、前身の民主党以来、初の女性党首となるため、早くも党の看板へ期待の声が出ている。

 野党共闘は候補者を一本化することで選挙にはプラスに働くが、安全保障や原発、消費税など重要政策で考えが異なる共産党に抵抗感を覚える議員も多い。非主流派が対抗馬を擁立するかが今後の焦点となるだろう。細野豪志氏が蓮舫氏を支持する考えを示す一方で、元外相の前原誠司氏は出馬に向けて調整に入っている。

 民進党代表選は9月15日の予定だ。国会や地方議員に加え、約24万人の党員・サポーターが1票を投じる。安倍首相は持論の憲法改正実現へ、秋にも憲法調査会を始動させる考えで、日本の政治は大きな岐路に立っている。党内だけでなく、広く国民に訴える政策論戦ができなければ、二大政党の一翼は担えない。(日高勉)

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