厳しい表情で山本農相(右から3人目)に要請書を手渡す佐賀県の山口祥義知事=東京・霞が関の農林水産省

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門差し止めを命じた長崎地裁判決を受け、開門を求める佐賀県の山口祥義知事と、開門に反対する長崎県の中村法道知事が21日、相次いで農林水産省を訪れ、山本有二農相と会談した。焦点になっている国側の控訴の可否に関し、佐賀県は控訴を求め、長崎県は控訴を断念するよう求める相反する要請書を手渡した。

 会談は冒頭のみの公開で終了後に両県知事が取材に応じた。山本農相は両者に対して同様に、「今後は関係省庁と連携して適切に対応したい」と述べるにとどめ、控訴の判断については明言しなかった。

 先に会談した中村知事は記者団に「有明海の状況を考えれば訴訟の継続は好ましくない。一刻も早く有明海の再生に取り組むため、控訴せずに判決を確定させてほしい」と強調。山本農相の反応には「これから検討いただけるのではないかと思う」と述べた。

 続いて、山口知事は県有明海漁協の徳永重昭組合長や県選出国会議員らと要請に臨んだ。山口知事は「国が自ら(開門する)判決を確定させたのに、(それと矛盾する開門差し止めの)判決を控訴しないのはあり得ない。控訴するのは当然のことだ」と訴えた。山本農相の印象では「まだ、(控訴の判断は)決まっていないのかなと受け止めた」と話した。山本農相は24日、開門を求める漁業者側弁護団と面会する。

 17日の長崎地裁判決に関し、国は控訴期限の5月1日までに判断する考えを示している。開門派の漁業者らが既に控訴しているが、補助参加のため国が控訴の権利を放棄した場合は無効となり、判決が確定する。国にとっては2010年の福岡高裁判決に基づく開門命令と相反する二つの義務が確定することになる。

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