■人口減、遺産相続が影響

 人口移動や遺産相続を背景に銀行預金の東京集中が進んでいることが15日、日銀の統計で分かった。日銀の大規模な金融緩和策で国内預金は1年間で6%増えたが、都道府県別で全国平均を上回ったのは東京と地震という特殊要因があった熊本だけで、45道府県は下回った。この傾向が続いて地方からの預金流出が本格化すれば、地域経済への悪影響も懸念される。

 日銀によると、2017年3月末のゆうちょ銀行を除く全国の銀行預金合計は745兆2958億円と前年同月比で6・2%増えた。都道府県別でみると、東京が12・7%増の254兆4496億円と飛び抜けている。東京が全体に占める割合も34・1%と1・9ポイント増えた。

 大都市圏への転居のほか、地方にいる親の遺産を相続した子どもが、東京に預金を移すケースが多いのが主な理由だ。熊本は9・2%増だったが、昨年4月の地震で支払われた保険金が、預金に回った特殊要因が大きいとみられる。

 一方、45道府県は全国平均を下回った。特に愛媛が0・8%減と唯一のマイナスになったほか、和歌山が0・2%増、岩手と長崎が0・8%増と伸びが小さかった。佐賀は3・4%だった。

 地域別でも東京を含む関東が9・3%増と大幅プラスだったが、他の地域は平均を下回った。四国は0・6%増、東北は1・3%増、中国が2・8%増にとどまった。

 地方銀行にとって経営の基盤となる預金量が維持できなければ、地域経済の成長を支える貸し出しに回るお金が減る。地銀経営にも影響が出て、地銀再編につながる可能性もある。三井住友信託銀行調査部は今後20~25年間に東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)と大阪圏(京都、大阪、兵庫)以外の全地域で相続によって金融資産が流出すると試算。「家計資産の大量流出で地域金融機関の中には存続をかけた対応を迫られるところも出てきそうだ」との見方を示した。【共同】

 ■預金 銀行などの金融機関が顧客から預かるお金のこと。一定の利息を付けるのが一般的。現在は日銀のマイナス金利政策を背景に、大手銀の普通預金の利息は年0・001%程度となっている。銀行は集めた預金を企業や個人、国・地方自治体に金利を付けて貸し出しており、預金者への利息と貸出金利の差が銀行の収益となる。銀行の貸し出しが増えれば、世の中に回るお金が増え、経済活動は活性化する。逆に貸し出しが絞られれば、景気が冷え込む。

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