■県民の認知不足は問題だ

 佐賀空港への自衛隊新型輸送機オスプレイ配備計画を巡る議論が加速している。佐賀県が計画に対する論点整理の素案を公表し、佐賀県議会の最大会派・自民党は「条件付き賛成」の考えを示して開会中の6月定例県議会で決議案を提出する準備を進めている。

 県は論点整理素案の中で、九州防衛局との間で交わした5回の質問のやりとり、歴代の防衛相、防衛副大臣らによる説明、地元説明会などを通じて「計画の全体像、将来像は、ほぼ明確になったという認識に至った」と明記した。20項目の論点のうち16項目で「不合理な点がない」とした。

 果たしてそうだろうか。機体の安全性では、心もとなさが残る。死者などが出る「クラスA」の事故率は、10万飛行時間当たり2・62回(2016年9月末)だ。論点整理では「米海兵隊全体の事故率と同程度であることを確認した」とする。一方で直近5年間をみると、3・44回にはね上がる。

 航空機などの事故率については「バスタブ曲線」を描くとの指摘がある。開発直後は事故率は高いものの徐々に低くなり、機体などの老朽化で再び上昇する。だが、オスプレイは米軍での運用開始から10年以上も経過するのに、直近の事故率が上昇している。本当に構造上の問題はないのか。突き詰めて検証するべきではないのか。

 さらに考えておきたい観点がある。「沖縄の負担」との関連だ。在沖縄米軍のローレンス・ニコルソン四軍調整官が3月、報道機関との意見交換会で、在沖米軍施設の自衛隊との共同使用に関し「将来的にはキャンプ・シュワブを自衛隊のオスプレイが使用すべき」と述べたと報道された。

 在沖米軍トップの発言ということを考えれば、自衛隊オスプレイによる沖縄米軍基地の利用や訓練の可能性は否定できない。もし佐賀空港に配備されたオスプレイが沖縄の空を飛ぶことになった時、米軍機に加えて自衛隊機の騒音問題などが出ることも考えられ、沖縄に負担増を強いることになる。

 最近の北朝鮮や中国の動向から「国防は喫緊の課題」との認識は誰しも共有しているだろう。ただオスプレイの導入や佐賀空港への配備の必然性については、しっかりと検証されなければならない。

 防衛省の要請から7月で3年となる。県議会ではこの間、特別委員会を設けるなどして議論を積み重ねてきた。最大会派・自民党は、こうした経緯なども踏まえて6月県議会で「容認」の決議案を出す方向で準備している。

 議論が一気に進む様相を見せる一方で、県民の理解は進んでいない。佐賀新聞社が4~5月に実施した県民100人アンケートでは、9割が計画があることは知っていたが、うち2割が「中身を知らない」と答えた。佐賀空港への配備計画が沖縄の基地負担軽減になるとの誤解も3割を占めた。

 議論が佳境(かきょう)を迎える中、こうした認知不足、誤解が一定数あることは問題であり、重く受け止める必要がある。国防に関する重要課題であると同時に県民の安全、暮らしに関わる問題でもある。防衛省は細やかに情報を提供するべきだし、県も対応を考えるべきだ。

 私たち県民も、自身の生活に影響が出てから考えても遅い。関心を持ってこの問題に向き合いたい。(梶原幸司)

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