心不全に関する調査結果をまとめた野出孝一教授(右)と田中敦史博士研究員=佐賀市の佐賀大学医学部

■「早期発見へ定期健診を」

 心臓の働きが低下して必要な血液を全身へ送ることが難しくなる心不全について、30~60代の約20%が軽度の心不全か「予備軍」とみられることが、佐賀大学医学部循環器内科の調査で分かった。高齢者の病気と思われがちな心不全のリスクが現役世代にもあることを示す結果で、早期発見につながるように定期的な健診の受診を促している。

 調査は、野出孝一教授(56)が2008年から伊万里市の浦之崎病院(現伊万里松浦病院)の協力で実施した。職場健診を受けた30~60代の2140人(男性1332人、女性808人)を対象に、心不全を判断する指標になるホルモン「NT-proBNP」の血中量を調べた。約1年かけてデータを集めた後、田中敦史博士研究員(36)らと分析を続けてきた。

 結果では、心不全が疑われる血液1ミリリットル当たり55ピコグラム(ピコグラムは1ミリグラムの10億分の1)以上のホルモン量が検出された人が約2割に上った。男女別では、男性よりも女性に数値が高い傾向がうかがえた。

 野出教授は「心不全は高齢者に多いが、今回の調査で若い世代にも一定のリスクがあることが分かった」と話している。

 調査では、問診の結果も踏まえて、不眠や寝付きが悪いなど睡眠障害があると認められた人はホルモン量が多い傾向にあり、特に女性で顕著なことも分かった。調査チームは「睡眠障害と心不全との関連など、まだ分からない点も多い。今回の分析結果を心不全の予防や治療に結びつける研究をさらに進めたい」と話す。

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