佐賀にちなんだ小惑星の名前を付けた古川麒一郎さん(提供)

■古川麒一郎さん 佐賀に縁、生前から希望

 地球から数億キロ離れた小惑星の名は「武雄」「嬉野」-。昨年6月に亡くなった元国立天文台勤務の天文学者・古川麒一郎さん(享年86)=東京都=が生前、共同で発見した小惑星について、国際天文学連合(IAU)に申請していた佐賀に関連する命名案が正式に認められた。古川さんの義母が武雄市出身で、嬉野市内にも妻・鈴子さん(81)の別宅があった縁で名付けた。鈴子さんは「夫の気持ちが入っている名前と思うとうれしい」と喜んでいる。

 米国で1月12日に開かれた国際天文学連合(IAU)小惑星委員会で名前が認定された93件のうち、古川さんの命名は7件。そのうち4件に、「タケオ(武雄)」「ウレシノ(嬉野)」「イズミシキブ(和泉式部)」「シゲヨシ(茂義)」という名前がついた。和泉式部は嬉野市塩田町や杵島郡白石町に生誕伝説が残っており、「シゲヨシ」は武雄領主の鍋島茂義(1800~63年)にちなんだ。

 火星と木星の間にある小惑星帯「アステロイドベルト」にあり、大きさは直径数キロから十数キロとみられている。どれも観察するには口径1メートル級の望遠鏡など特別な設備が必要。鳥取市佐治天文台長の香西洋樹さんと共同で1982年に発見、これまでは番号で呼ばれていた。小惑星は天体の中で唯一、発見者に命名提案権が与えられている。

 県立宇宙科学館の丹野佳代子学芸員によると、古川さんは昔から佐賀ゆかりの名前を付ける希望を周囲に漏らしており、数年前から話が進み始めた。名前は自身の希望のほか、古川さんから相談を受けた武雄市の提案も反映したという。

 古川さんは大阪市出身。京都大で理学博士を取得し、軌道計算を専門とした。文部省国立天文台の文部教官、日本暦学会会長、東亜天文学会副会長などを歴任。県関連の小惑星命名では、13年に「リサンペイ(李参平)」という名前が認定された経緯がある。

 鈴子さんは「夫は仕事に疲れたらよく『嬉野に行こうか』と言って、年に数回は嬉野に滞在していたし、武雄には私の親戚も多い。アマチュア天文学者の知人も多かったから、とにかく九州が好きな人だった」と、生前の武雄や嬉野との縁を振り返った。

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