有明海で不漁となっているビゼンクラゲ(佐賀大学低平地沿岸海域研究センター提供)

■漁協大浦支所、取り扱い昨年の4割

 中華料理の高級食材として知られるビゼンクラゲが有明海で不漁となっている。7月に九州北部を襲った豪雨で大量の淡水が海に流れ込み、貧酸素状態になった影響も指摘されるが、詳しい原因は特定されていない。有明海の環境異変が叫ばれ、冬場のタイラギ休漁が続く中で、夏場のクラゲ漁は貴重な収入源として定着してきていただけに、漁師にとって痛手となっている。

 ビゼンクラゲは、傘の内側が赤茶色なのが特徴で、通常直径60~70センチ、大きいもので1メートルを超える。中国での需要が高まり、有明海でも約5年前からノリ漁が本格的になる前の7~9月ごろに漁が行われてきた。今年も7月5日に漁が解禁されたが、佐賀県有明海漁協によると「極端に少ない状態」という。

 漁船漁業が盛んな藤津郡太良町の漁協大浦支所では、クラゲ漁操業者が114人おり、1日最大30隻を漁に割り当てている。今年は26隻が漁に出た初日の水揚げが最多で、その後は激減。漁に出ても1匹もかからず、操業する船が1隻だけという日もあったという。そのため、昨年より1週間以上早く16日で今季の荷受けを終了、取り扱いは昨年の4割程度に落ち込んだ。

 今年は、漁解禁日に豪雨が発生。有明海には筑後川から大量の淡水が流れ込んで海水と十分に混ざらず、海底部の酸素濃度が極端に低くなる「貧酸素水塊」が大規模に発生している。

 一方、大浦支所には解禁当日から「死んでいるクラゲがたくさん浮いていた。終漁期に近い状態だった」という漁師の声が複数寄せられていたという。

 有明海では三十数年前にクラゲが大量発生した後、2年ほどでぱったりといなくなってしまったことも。クラゲの研究は進んでおらず、実態を把握できていないのが現状だ。

 かつては網にかかって漁の邪魔をする“厄介者”だったクラゲも、中国の富裕層の間で質の高さが評判となり、昨年までは1キロ当たり100~300円ほどで売れ、1隻で1日500キロ~1トン取れることもあった。

 大浦支所の下田貴利支所長は「冬場のタイラギが休漁している中で、クラゲは夏場の貴重な収入源になっていた。まとまった数量が取れないと漁業者もきついし、漁協の運営にも響いてくる」と懸念する。

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