ハンセン病患者のうち療養所に入らず亡くなった「非入所者」3人の遺族4人が、病気への偏見を助長した国への損害賠償請求権を引き継いでいるとして起こした訴訟は、東京地裁(佐久間健吉裁判長)で和解が成立した。国が発症時期に応じ4人に350万~500万円を支払うとの内容。遺族側の弁護士が20日、明らかにした。

 国と元患者団体は2002年、入所者だけでなく、非入所者にも和解一時金を支払うことに合意したが、3人は1997~99年に死亡していた。非入所者の遺族が権利を相続できるとの内容は合意に明記されておらず、遺族と国が和解するのは全国で初めて。遺族側の神谷誠人弁護士は「国が責任を自覚した」と意義を話した。

 ただ、隔離政策の根拠となった「らい予防法」廃止(96年4月)から20年が既に過ぎており、民法の規定上、新たな請求は認められない。

 非入所者3人は秋田、愛知、沖縄各県在住の男性で、50~75年にハンセン病と診断された。50代から80代の子どもらが請求期限の迫った昨年3月29日に提訴し、愛知、沖縄の元患者分は16年11月4日、残っていた秋田の元患者分も今月20日に和解が成立した。

 訴状によると、愛知の男性は発病を隠して過ごしていたが、うわさが広まり庭師の仕事の依頼がなくなるなどした。秋田の男性は入所を拒み続けたが、自らの存在が子どもの結婚の妨げになると悲観して自殺を図ったこともあった。沖縄の男性は病歴を隠して結婚し、99年に自殺した。

 非入所者の遺族による訴訟は鳥取地裁にも10年に起こされ、地裁は15年、請求を棄却する判決を言い渡した。遺族側は控訴している。

 厚生労働省難病対策課は「特にコメントすることはない」としている。【共同】

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