昨年のリオデジャネイロ五輪で設置されたLGBTの拠点「プライドハウス」で写真に納まる松中権さん(右)(提供写真)

■国内初、NPO法人計画

 2020年東京五輪・パラリンピックの期間中に、同性愛や性同一性障害などの性的少数者(LGBT)の交流や情報発信の拠点となる施設を設置する計画を、都内のNPO法人が進めていることが16日、分かった。10年バンクーバー冬季大会以降、国際スポーツ大会では「プライドハウス」と呼ばれるこうした拠点が開催都市に設けられる事例が増えており、国内では初の試みとなる。

 国際オリンピック委員会(IOC)は五輪憲章で性的指向による差別を禁じている。最近は企業によるLGBT支援や差別を禁じる法整備を目指す動きも出ており「多様性と調和」を基本コンセプトに掲げる東京大会で、社会の変化を促す取り組みとして注目される。

 NPO法人「グッド・エイジング・エールズ」を設立した松中権代表(41)は「東京大会でスポーツ界をもっとオープンにしてレガシー(遺産)として残したい」と意義を強調した。LGBT理解を深める教育や参加型のスポーツイベントも検討しており、今後、大会組織委員会や都との連携も視野に入れている。組織委は「詳細が分かった段階で改めて検討したい」とコメントした。

 欧米メディアによると、昨年のリオデジャネイロ五輪では柔道女子57キロ級金メダルのラファエラ・シルバ選手(ブラジル)ら、LGBTを公表する選手が少なくとも41人おり過去最多だった。IOCも選手の権利保護に力を入れている。

 日本では全国約7万人の調査で約13人に1人がLGBT層に当たるとのデータ(15年電通調べ)がある一方、スポーツ界で公表している人はほとんどいない。松中代表は「政治家やスポーツ選手はカミングアウト(公表)することで何かを失うリスクにおびえている」と根深い理解不足や差別意識を指摘する。

 元フェンシング女子日本代表選手で心と体の性が異なるトランスジェンダーの杉山文野さん(36)は「期間限定でも世界が注目するスポーツ大会で社会に情報発信できる場を設けられれば、非常に効果的」と、共生社会の実現に向けた計画に期待した。【共同】

 ■LGBTと五輪

 LGBTは同性愛のレズビアンとゲイ、両性愛のバイセクシュアル、生まれつきの性別に違和感を持つトランスジェンダーの頭文字を取った性的少数者を指す言葉。情報発信拠点の「プライドハウス」は2012年ロンドン五輪や16年リオデジャネイロ五輪で設置された。14年ソチ冬季五輪では同性愛者へのロシアの差別的な政策が国際的な批判を浴びた。国際オリンピック委員会(IOC)はリオ五輪から新たなガイドライン(指針)を適用し、トランスジェンダー選手の性別変更に関する基準を緩和した。

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