高額な利用料を請求するアダルトサイトの画面の一例

 インターネットのアダルトサイトに接続し、高額な料金を請求されるシニアが後を絶たない。スマートフォンなどの情報機器に不慣れで、サイトの危険性への認識も不足。トラブルになっても世間体を気にして相談しない…。被害者になりやすい条件がそろっていると専門家は指摘する。

 「繰り返し注意喚起をしているのですが…」。そう残念がるのは、独立行政法人・情報処理推進機構(IPA)の調査役、加賀谷伸一郎さん。2005年ごろから、不審なアダルトサイトでウイルス感染するなどの被害に遭った人に対処法を助言してきた。こうしたサイトに関してIPAに届く相談は、月に150~250件と「なかなか減らない状況が続いている」という。

 一方、国民生活センターの集計では全国の相談件数は、15年度は約9万6千件。11年度から5年連続で、最多の相談テーマとなっている。特に60歳以上の男性からは、この間に約1・6倍に増えた。担当者はスマホの急速な普及が一因だと分析。「操作に不慣れなまま画面に触れているうち、アダルトサイトに誘導されていく年配の人は、珍しくない」と話す。

 子どもには、有害サイト閲覧を制限する「フィルタリング」があり、中高生なら学校で情報機器を扱う際の注意点を学ぶ機会もある。加賀谷さんは「若い人の方がネットのリテラシー(読み解く力)は高く、トラブルを避ける方法も知っている」と感じている。半面、シニア層は学ぶ機会も限られ、「無防備な状態のままアダルトサイトに入り、巻き込まれる例が後を絶たない」。

 さらに、トラブルの性質上、「問題が表面化しにくいことも一因」だと加賀谷さんはみている。「孫がいるような年代で体面を気にするのか、誰にも相談しない。自由になるお金を持っているので、支払ってしまう人も多いようだ」と指摘。明らかになっている被害は氷山の一角とみる。

 実際、国民生活センターなどへの相談では、業者にお金を支払った後のケースが増えており、16年度(10月末まで)の平均の支払額は約30万円。過去5年間に相談してきた人が支払った総額は、約40億円に上る。担当者は「慌てて支払ったり、業者に連絡を取ったりしないでほしい」と繰り返し呼び掛けている。【共同】

■誘い込む手口、巧妙化

 アダルトサイトに誘い込む手口は、巧妙化している。有料であることを示す情報や規約は、画面の分かりにくい位置に細かな文字で表示。無料で動画が見られると誤解させるのが一般的だ。芸能人の裏情報サイトなどを装って誘導する例もある。

 サイトで「18歳以上」という表示を選ぶと、突然「会員登録」となるケースが多いようだ。いったん登録扱いになると、画面から料金請求のメッセージが消せなくなることもあるが、慌てて業者に連絡を取らないこと。業者に個人情報を知られ、悪用されかねない。相談先を調べるにも注意が必要だ。焦って自分で解決しようとネットで検索するうち、悪質な探偵業者などにたどり着いて、二次被害に遭うケースもある。国民生活センターや消費生活センターと似通った組織名を語る業者もいる。

 電話相談は、最寄りの消費生活相談窓口につながる消費者庁の「消費者ホットライン」、188。または情報処理推進機構の「情報セキュリティ安心相談窓口」、03(5978)7509。

このエントリーをはてなブックマークに追加