仕事柄、「事実」という言葉に過敏になる。事実は英語で「ファクト」。事の真相を追求してきたので、事実を書くことが当然のことだと思ってきた◆米国では「オルタナティブ・ファクト(もう一つの事実)」なる言葉が波紋を広げている。大統領就任式の観衆の人数を、オバマ大統領の時と比べ「3分の1」と米メディアが報じると、ホワイトハウス報道官は「過去最高だった」と主張。その根拠が事実と異なるとの批判に、今度は大統領顧問が「もう一つの事実を提示している」と開き直った◆トランプ氏からして、自らに批判的な報道を「フェイク(偽)ニュース」と呼び、自分に都合のいい「事実」を報じないメディアを攻撃する。この政権の危うさを感じる人は多かろう。日本でも「事実」が焦点に。小池百合子都知事が、元知事の石原慎太郎氏に向けて「都民が知りたいのはファクトだ」と記者会見で発信した◆迷走気味の豊洲市場の移転問題。都が移転先の東京ガスの工場跡地を取得した当時の知事として、決めた経緯などを本人の口から語ってほしいとの思いをぶつけたのである◆都議会には強力な調査権限を持つ百条委員会が設置される見通しになった。石原氏は証人喚問の前に会見するそうだが、果たして、それでつまびらかになるのか。知りたい事実は、どこにある。(章)

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