佐賀空港への自衛隊新型輸送機オスプレイの配備計画の是非をめぐり地元が揺れている。国の来年度予算概算要求が月末に迫る中、九州防衛局は佐賀県有明海漁協や佐賀市川副町など地元への説明を重ねる。住民説明会では怒号も響き、計画発表から2年たった今も地元理解は進んでいない。

 住民の不満は肝心な部分の説明が曖昧なこともあるだろう。沖縄に駐在する米海兵隊の訓練移転は昨年10月、当時の中谷元・防衛相が取り下げる提案をしたものの、米軍利用の可能性は残していた。九州防衛局は7月の住民説明会で「米軍がどこで訓練をしたいのかまだ決まっていない。沖縄の基地負担軽減のために政府を挙げて取り組んでおり、ほかの場所と横並びで考えさせてほしい」と協力を求めた。

 防衛省は佐賀空港に配備予定のオスプレイ17機について「島嶼(しょ)防衛」の目的であると繰り返す。他国の侵攻で島を奪われた場合、佐世保に新設する水陸機動団を輸送する手段としてヘリより速く、長い距離を飛べるオスプレイを活用する考えだ。

 政府は外交上の配慮から明言を避けるが、沖縄県の尖閣諸島に中国軍が上陸するケースを想定しているとみられる。米軍のけん制もあり、その可能性を必要以上に高く考えるべきではないが、中国が南シナ海や東シナ海で見せる挑発的な行動からすれば否定もできない。

 また集団的自衛権の発動に伴い、米軍に協力する形でほかの地域で展開することも考えられる。いずれにしても佐賀空港には佐世保の基地と連携する明確な作戦を持った軍事施設が併設することになる。

 自然災害での救援活動や、自衛隊員700~800人の移転に伴う経済効果など利点を挙げる声はあるだろうが、地元がまず議論すべきは新たな軍事施設を受け入れるか否かということだろう。

 自治体は国防に必要な施設は受け入れるべきという意見もある。ただ軍事施設である以上、攻撃を受ける恐れはある。これだけテロが横行する時代であり、佐賀空港の民間機が狙われる可能性があるというのは考えすぎだろうか。最終的には県が判断することになるが、地元住民の安全を最優先に考え、慎重な対応を望みたい。

 地元住民は防衛省の計画の進め方にも違和感を持っている。取得用地が35ヘクタールとなれば、県の条例で環境アセスが必要になるところを33ヘクタールに抑えた。ご丁寧にも前政務官は3月、「用地の一部を買って、また次を考えたい」とアセス回避の本音と今後の拡張の可能性を示した。

 政務官は国会で発言を謝罪し、撤回したが、九州防衛局は7月の住民説明会で「条例の定める通りに対応する」とあくまで環境アセスを実施しない考えを示している。

 整備まで2年間という時間的な制約もあるのだろう。しかし、地元は漁協が懸念する排水問題だけでなく、訓練飛行の騒音、通学路の交通量増大などさまざまな懸念を抱く。本当に必要な施設と考えるならば、環境アセスを実施し、地元の理解を優先すべきではないか。姑息(こそく)なやり方を通せば、禍根を残す。

 8月の内閣改造では、安倍首相の側近と言われている稲田朋美氏が防衛相に就任した。会見で「地元の理解が得られるように丁寧な説明に努める」と述べている。この2年間、防衛省の対応に地元は必ずしも納得していない。拙速とならない対応を求めたい。(日高勉)

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