【説明者】原子力規制庁安全規制管理官 市村知也氏

 新規制基準は福島第1原発事故を教訓に、これまでの基準を大幅に強化した。安全機能が一斉に失われることを防ぐ対策に加え、そうした対策を講じても事故が発生すると考え、あらかじめ対応する。以前は、もっぱら重大事故を起こさない対策を求めており、発想を大きく転換した。

 重大事故の防止対策として、地震や津波のほか、火山、竜巻、森林火災など自然現象に対する対策を新設・強化したほか、設備の内部に水があふれる溢水(いっすい)対策を新たに設けた。火山活動で発電所に影響を与えるのは火山灰になるが、敷地内にたまる厚さを10センチ程度と評価し、安全性が損なわれないことを確認した。燃えにくいケーブルを使うなどの火災対策のほか電源対策は特に厳しく点検した。

 万が一、重大事故が発生した場合を想定し、段階に応じて「原子炉を確実に止める」「核燃料が溶け出すことを防ぐために冷やす」「放射性物質を格納容器内に閉じ込める」対策が重要になる。これらの項目を具体的にチェックしている。

 重要なのは、単に設備を整備するのではなくソフト対策だ。要員の確保、体制や対応手順の整備、教育訓練の実施なども確認した。これらの視点は審査して終わりではなく、保安検査で継続的に確認していくことになる。

 事故時の対応拠点となる緊急時対策棟の構造について九電は、免震から耐震に変更したため、その観点からも慎重に審査した。対策拠点としての機能があるかどうかが重要で、構造を指定してるわけではない。

 大規模な自然災害やテロなどによる原子炉の大規模損壊を想定した体制や手順では、全てを食い止められるわけではないが、放射性物質の放出をできるだけ抑えられるような対応を求めている。

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