南から吹く風に、築地市場の匂いが混じる日がある。佐賀新聞社の東京支社は、築地市場まで歩いて5分の銀座8丁目にある。ドラム缶に台車を取り付けたような、「ターレー」と呼ばれる乗り物とすれ違うのも日常の光景だ◆その築地市場の豊洲移転が争点に浮上した東京都議選が、きょう告示される。小池百合子知事率いる都民ファーストの会が第一党に躍り出るのか、それとも自民党が踏ん張るのか。野党はどこまで存在感を示せるか◆小池都政の審判という側面だけでなく、今後の国政にも大きく影響する選挙である。告示直前、小池氏はいったん豊洲に移し、5年後をめどに再び市場機能の一部を築地に戻す勝負手を繰り出した。「食のテーマパーク」案を、都民はどう評価するだろう◆一方の自民は、内閣支持率の急落に浮き足立つ。安倍首相は「築城3年落城1日」と低姿勢に転じつつ「あくまでも地方の選挙」と予防線を張った。都民ファースト圧勝なら、国政進出もささやかれる。地方に住む私たちにとっても人ごとではない◆築地は海軍発祥の地でもある。海軍の設立に奔走した勝海舟は「上がった相場も、いつか下がるときがあるし、下がった相場も、いつかは上がるときがあるものさ」と世評の移ろいやすさを達観していた。この首都決戦、どんな風が吹くだろうか。(史)

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