■国内候補への影響懸念

 世界遺産の登録を審査する国連教育科学文化機関(ユネスコ)は、年1回の審査で扱う件数の上限を、現行の45件から25件に減らす本格的な検討に入った。千件を超えた遺産の保全管理に目が行き届かず、新規登録を抑える必要があるため。政府が推薦済みで2017年に登録審査を受ける「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」(福岡)や、18年登録を目指す「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎、熊本)など、国内では多数の候補の登録が期待されており、影響を懸念する声も出そうだ。

 ユネスコは、10月にパリで開く世界遺産委員会で審査件数の削減案を議論する。既に多くの世界遺産を持つ欧州各国は、保全管理に力を注ぐため削減に前向きだ。一方、日本を含め、登録待ちの候補が多いアジアやアフリカ諸国では「早期登録の道が狭まる」と反対の声が強く、すぐに結論が出るかは不透明だ。

 世界遺産の国内候補となる暫定リストには、「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」(新潟)など推薦を待つ候補が8件ある。四国4県は遍路道の暫定リスト掲載を求めている。仮に年間審査件数が絞られると、後続組の審査時期が遅れ、登録ペースが落ちる恐れもある。新ルールが決まった場合、早ければ来年の登録審査から適用される可能性がある。【共同】

=ズーム 世界遺産=

 世界遺産 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産条約に基づき、人類共通の財産として保護する歴史的な建物や遺跡、自然など。2016年の登録決定分を含めると、文化遺産は814件、自然遺産は203件、両方の要素を持つ複合遺産が35件ある。締約国から選ばれた21カ国でつくる世界遺産委員会が年1回、新規登録を審査するほか、保全状況の報告も受ける。世界遺産のうち、紛争や災害、環境破壊などのため保全の危機にさらされている「危機遺産」は55件に上る。

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