知事の地元同意について「再稼働のための手続きが一つ終わっただけ」と冷静に受け止める岸本英雄玄海町長=玄海町役場

 佐賀県内の首長の多くは、山口祥義知事の再稼働同意判断について「尊重する」「苦渋の決断」と理解を示した。一方、ひとたび重大事故が起きれば、影響は広範囲になるため、市民の安全を守る立場から「残念だ」との声も漏れた。

 原発が立地する玄海町に隣接する唐津市。峰達郎市長は住民に不安が残っている現状を踏まえ、今月10日に知事に「慎重な判断」を申し入れしていた。市長は「(その後)現地視察や2人の大臣との意見交換がなされ、しっかりとプロセスが踏まれたと思う。知事として責任ある重い判断を示された」と語った。

 再稼働に否定的な言動だった首長たちの評価は濃淡がある。30キロ圏内で反対を表明し続けてきた伊万里市の塚部芳和市長は記者会見を開き、「県民を二分する中での決断で、とやかく言うつもりはなく、重く受け止めている」と淡々と述べつつ、「市民の不安は高まっており、容認したくないし、残念に思う」と言い添えた。

 嬉野市の谷口太一郎市長も「残念な思いだ」と顔をしかめた。事故発生時、伊万里市からの避難者を受け入れる自治体の一つだが、「風向きによっては嬉野市民も避難が必要。その時の対処について県から最後まで具体的な説明が聞けなかった」と不満を漏らし、市独自に避難計画を作る考えを示した。

 反対していた松本茂幸神埼市長は、25日からの全国市長会による福島第1原発の視察のため、現地入り。「県のトップがいろいろと考慮した決断は尊重する。しかし避難者が戻れていない現状もあり、事故はあってはいけない。とにかく安全性を確保することが最重要だ」と受け止めた。

 県内では唯一「脱原発をめざす首長会議」の会員の江里口秀次小城市長は「苦渋の末の決断と思った。GM21(首長会合)などさまざまな意見を聞いていくうちに脱原発の重要性を改めてかみしめているのを、(知事の)談話の中で感じ取った」と話した。

 23万人の市民を抱える県都・佐賀市の秀島敏行市長は「原発事故は非常に不幸な出来事だったが、原発を止めると二酸化炭素や地球温暖化の問題が出てくる。(再稼働同意は)やむを得ない判断だった。全員が賛成していない状況でも、首長は決断しないといけない」と理解を見せた。さまざまな意見を持つ首長たちだが、「同意権」はなく、知事の選択を見守るしかなかった。

 先んじて3月7日に立地自治体として同意表明していた玄海町の岸本英雄町長は記者に囲まれる中、真剣な表情でネット中継で知事会見を見つめた。地元同意の完了に「手続きが一つ終わっただけ。あとの作業がスムーズに進めばいい」と一刻も早い再稼働を待ち望んだ。

=玄海原発 再稼働へ=

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