山本有二農相(右から2人目)に控訴するよう求める要請書を手渡す開門派の馬奈木昭雄弁護団長(中央)=東京・霞が関の農林水産省

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門差し止めを命じた長崎地裁判決を受け、開門を求める漁業者側弁護団は24日、新たに第三の当事者として参加するための法的手続きを取ったことを明らかにし、山本有二農相に伝えた。開門派は「国と干拓営農者のなれ合い訴訟を防ぐため」としている。国が当事者となる大型訴訟では異例の手続きという。

 開門派は「独立当事者参加」を、17日の判決言い渡し直前に長崎地裁に申し立てた。今後、控訴期限の5月1日までに独立当事者として控訴する。

 開門差し止め訴訟は、開門すれば農業や防災に被害を及ぼすとして営農者らが国を相手取って起こした。開門派は国を勝たせるために利害関係者として「補助参加」し、堤防閉め切りと漁業被害の因果関係に関し意見を述べた。しかし、国側が主張に「抵触する」と指摘したため採用されず、国側敗訴の要因となった。

 弁護団によると、申し立ては国に開門を求める内容で、認められれば対立構造にある三者が対等の当事者として三つどもえの主張をする「三面訴訟」の形になる。同じ権利を巡る複数の争いが一つの訴訟で解決される可能性がある。

 独立当事者として参加の可否を判断する審理は福岡高裁で公開で開かれ、判決の形で示されるという。馬奈木昭雄弁護団長は「補助参加と同じ理屈だけに問題なく認められるだろう」との見通しを示し、「国が控訴するかどうかに関係なく、高裁で事実上の審理が開かれる」としている。

 この日、開門派弁護団は控訴を求める要請書を山本農相に手渡した。終了後、馬奈木弁護団長は「紛争を終結させるには和解しかなく、控訴しなければ高裁での和解協議が実現しない」と訴えた。農相は「和解が一番いい。控訴は各省庁でよく協議して対応する」と答えたという。

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