♪たばこを吸いながら…で始まるロックバンド「RCサクセション」の名曲「ぼくの好きな先生」は故忌野清志郎(いまわのきよしろう)さんの作詞である。歌は<いつでもつまらなさそうに/たばこを吸いながら/いつでも部屋に一人/ぼくの好きな先生/ぼくの好きなおじさん/たばこと絵の具のにおいの…>と続く◆清志郎さんには終生慕った高校の美術部顧問の先生がいた。歌のモデルだが、<劣等生のこのぼくに/すてきな話をしてくれた>と詞にあるように、忘れられない人だったのである。たばこの匂いが青春の日々を思い起こさせてくれたのだろう◆たばこの形態が変わってきた。電気で葉タバコに熱を加えて専用の器具で吸う「加熱たばこ」が増えている。煙や灰が出ない上、有害物質も大きく減るという触れ込み。だが、税額が紙巻きより小さいことと、たばこ離れもあって、今年のたばこ税が前年より500億円以上も減るとの予想が出た◆身近でも見かけるようになった加熱たばこ。スマートな喫煙スタイルがいいのか、市場のベクトルは次世代たばこへと向いている。禁煙は世の趨勢(すうせい)とされる中、愛煙家には共存の道とも映っているのだろうか◆歌人の寺山修司に一首ある。<煙草(たばこ)くさき国語教師が言ふときに明日という語は最もかなし>。同じたばこの匂いも受け取り方はさまざまなようだ。(章)

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