高齢者らが大手百貨店の店員などを装った人物に銀行のキャッシュカードをだまし取られ、現金を引き出されてしまう被害が東京都内で急増している。警視庁は、おれおれ詐欺など特殊詐欺の新たな手口とみており、注意を呼び掛けている。

 「あなた名義のクレジットカードで買い物をした人がいます」。突然に鳴った電話で、有名百貨店の店員を名乗る人物が説明を始める。身に覚えのない内容に驚く被害者。動揺を見透かしたように、電話口の声は「口座からこれ以上引き落とされないよう、キャッシュカードを変えた方がいい」と畳み掛ける。

 言われるがまま、教えられた電話番号に連絡すると、今度は銀行協会の職員や警察官を装った人物が対応してカードの暗証番号を聞き出し、さらに自宅までカードを受け取りに来る。不審だと気付いた時には、既に現金が引き出されているのが典型的なパターンだ。

 警視庁によると、こうした手口による被害は昨年1~3月に約10件、計約2千万円だったが、昨年10月ごろから増加。今年に入ると、3月末までに約150件、計約2億2千万円もの被害が確認された。2月には80代の女性がキャッシュカード8枚をだまし取られ、約1千万円が引き出された例もあったという。

 特殊詐欺を巡っては、警察と金融機関が連携し、窓口で多額の現金を引き出そうとする高齢者らに声を掛けるなどの取り組みを強化している。昨年1年間に被害を防止できたのは、全国で1万3140件の約191億8千万円。既遂の認知件数1万3237件と比べた阻止率は49・8%と効果を発揮している。

 新たな特殊詐欺の手口は、こうした対策をかいくぐるために生まれたとみられ、カードの受け取り役は銀行協会の職員証を模倣したものを示して信用させるなど周到な準備もしている。

 警視庁犯罪抑止対策本部は「百貨店や警察官、銀行協会の職員などが、キャッシュカードの暗証番号を聞くことや受け取りに来ることはない。その場合は間違いなく詐欺なので、通報してほしい」と訴えている。【共同】

このエントリーをはてなブックマークに追加