ふるさと納税の収支で自治体間に大きな格差が生まれている。取り組み方の差も一因で、収支が厳しい自治体に対策強化を求める声も上がりそうだ。地元産品の需要につながる面もあるが、制度の趣旨を考えれば、まずは過熱する獲得競争の沈静化が求められる。

 全国で競争が激化しており、2015年度の寄付総額は14年度の4・3倍の約1653億円に急増し、佐賀県も5・3倍の96億円に伸びた。減税の上限が約2倍になり、手続きが簡素化され、返礼品や減税がある“お得な制度”が浸透したことが背景にある。

 ただ全国では、高額な家電や金券などの返礼品を用意したり、返礼割合を高めたりする自治体や、節税目的で多額の寄付をする人も出た。「故郷や応援したい自治体を支援する」という本来の趣旨から逸脱したケースで、総務省は自粛を求めている。

 総務省の調査では、寄付額の半分は返礼品購入や事務経費になっている。その経費を含めて収支計算すれば赤字自治体はさらに増す。「地方の税収不足を補う」という趣旨も危うくなりかねない。寄付金を福祉サービスなどに充てる自治体も出ているが、恒久財源とは言い難く、事業の継続性への懸念も生じる。

 市町からは「本来の寄付でない」「寄付金の奪い合い」という声も漏れる。競争に拍車がかかれば、制度の「ゆがみ」はさらに拡大する。返礼割合の制限など問題点の改善が急務だ。(小野靖久)

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