命の喜びを表現した「立春」(2004年)と倉数和文さん。銭湯の脱衣場だった絵画教室で=唐津市本町

2016年作の「桜」。縦182㌢、横546㌢、6面びょうぶ仕立ての大作だ

「寿湯」の看板が残る自宅で創作活動を続ける倉数和文さん=唐津市本町

■「自然と人の調和」描く

 唐津市本町にアトリエと絵画教室を構える画家倉数和文さん(65)が25日から旧唐津銀行で個展を開く。「自然と人の調和」をテーマに、移り変わる心象風景を描き、フランスの現代美術展で受賞を重ねてきた。近作の「桜」など、びょうぶ仕立ての大作を中心に、画業を総覧できる約20点を展示する。3月12日まで。

 洋風の外壁に「寿湯」の看板が残る自宅。倉数さんは九州産業大大学院芸術研究科修了後、唐津を拠点とし、家業の銭湯を手伝いながら創作活動を続けてきた。かつての大浴場がアトリエで、脱衣場が教室だ。

 自然や和の文化をモチーフにしつつ、主題は年代によって異なる。30代から40代前半までは庭園や茶室から感じ取るわびと静寂を表現し、父親をみとった40代後半からは何気ない日常のありがたさを描写。そして50代は一転、明るい色調で「命の輝き」を描く。

 若い頃はアトリエにこもって描く日々を送っていたが、行き詰まりを感じ、郊外の立神岩に1年間通った。風や潮の匂いを感じながら目に見えているものではなく、感じるものを描くことの大切さに気づいた。それが40年間、唐津で創作活動を続ける理由でもある。

 一時、美術団体に所属したが、「会派内での評定を気にせず、感じるものをそのまま形にしたい」と、世界各地の個人作家が応募するフランスの「サロン・ドートンヌ」「ル・サロン」に出品。「ジャポニスム」(日本趣味)に通じる作風が評価、支持されてきた。

 個展は2001年、市内の河村美術館で開いて以来16年ぶり。「(フランスなど)遠くの人だけでなく、身近な(唐津の)人にも見てもらいたい」と話し、「芸術は生活の中にあってこそ、生きる喜びとなる」。年配の教室生たちとカンバスに向かう日々をいとおしそうに語る。

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