政治的中立性や他教科との連携について論議したシンポジウム=佐賀市の佐賀北高校

司会を務めた佐賀新聞社の富吉健太郎専務取締役・編集主幹=佐賀市の佐賀北高校

「従来の授業法認められた」講師の明治大学文学部・藤井剛特任教授=佐賀市の佐賀北高校

「政治自由に語れる時代に」講師の春田久美子弁護士=佐賀市の佐賀北高校

「全教科で当事者意識必要」佐賀北高の森勝俊教諭=佐賀市の佐賀北高校

 佐賀県内の高校で主権者教育を担当する教師を対象にした研修会が5日、佐賀市の佐賀北高で開かれた。実践発表やパネル討論で、7月の参院選から導入された「18歳選挙権」の課題を議論した。公開授業も行い、若者の投票率を高めるための実践的な取り組みについて考えた。県教委と県高校公民部会が主催し、約50人が参加した研修会の内容を詳報する。

■パネル討議 参加者

 藤井剛さん(明治大学文学部特任教授)

 春田久美子さん(弁護士)

 森勝俊さん(佐賀北高教諭)

 司会 富吉賢太郎(佐賀新聞社専務取締役編集主幹)

 富吉 政治的中立性をいかに確保するかが先生たちを悩ませ、さまざまな課題に関わってきている。

 藤井 私自身は、この世に「中立」はないと思っている。どの立場から見るかで中立は変わってしまうので、「公平」という考え方をすれば分かりやすくなる。

 教員向けの指導資料には、対立する意見がある問題に関しては両方の意見を説明する、などの考え方が示されている。これらは公民科の授業で今までやってきたこと。自分の授業方法が認められたと理解してほしい。

 春田 特定の政党や候補者への投票を促す発言でなければセーフ。むしろ18歳選挙権の導入で、政治について自由に語れる時代が来た。「先生はどう考えるの」と聞かれ、答えられないのに子どもに肉薄できるだろうか。萎縮して何もしないのは、今の流れからするとナンセンスだ。

 森 日本の政治教育はまだスタートしたばかり。私たちの見方を変えるきっかけにはなるが、現場としては思ったことがはっきり言えない状況がある。「こういう意見があるよね」と、第三者の声として自分の考えを言うことはある。

 藤井 主権者教育は、自分の意見を決めさせるもの。教える立場の教員が意見を持たないはずはない。教員の発言が議論になるのは生徒への影響が大きいからだが、外国では教員が発言しても意見が一つ増えるだけ。日本では「詰め込み」の授業をしていることが背景にあり、授業方法の問題も提起している。

 富吉 地方選挙はほとんどの候補者が無所属だったり、身近な人が立候補していたりと、国政選挙とはがらりと変わる。

 春田 国政とは異なり、身近に感じられる地方自治から主権者教育をやるべきだ。本人や家族が不満を持っているような身近な問題について、候補者がどの程度解決してくれそうかを見極めるいいチャンス。利害関係者の「しがらみ」も、それが何を意味するのか、冷静に学ぶ機会にすればいい。

 富吉 主権者教育を公民科以外の教科に広げるにはどうすればいいだろう。

 藤井 例えば、数学の先生も選挙には行く。行く以上、何かしらを語れるはず。それを語ってもらうことが原点だ。

 森 今までやってきた授業を主権者教育という別のフィルターを通して見ることで、全教科で当事者意識を持ってもらうことができる。ただ、誰が音頭を取ってこれをやるかが問題。管理職にも、しかるべき指導をするべきだ。

このエントリーをはてなブックマークに追加