由布岳を背に人力車を引く津田貴之さん。力強い足取りで地震からの復興を目指す

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■温泉で人力車、旅情演出

 熊本・大分地震に襲われた由布院温泉(大分県由布市湯布院町)。観光客に旅情を味わってもらおうと人力車を走らせる「えびす屋湯布院店」の店長、津田貴之さん(32)は「地震で売り上げは激減したが、客足は戻ってきた」と前を向く。

 山々に囲まれ、のどかな風景が人気の温泉地は、1975年の大分県中部地震で「由布院壊滅」との風評が広がった。健在ぶりを発信したのが観光辻(つじ)馬車であり、牛喰(く)い絶叫大会、湯布院映画祭など、立て続けに始めた催し。町外でアイデアを得たり、外部の協力もあって実現した。当時、活動に携わった溝口薫平さん(82)=由布院玉の湯会長=は「外の文化、外で感じたものを由布院盆地で熟成させ、発信するのが由布院方式」と説明する。

 津田さんは福岡県出身。21歳から人力車を引き、現在は市商工会青年部湯布院支部長。「僕自身が由布院伝統の象徴です。外から来たが、かじ取りを任されている」。6月の若い経営者の主張発表大会で町への思いを熱弁し、最優秀賞に輝いた。

 「地震を契機に、お客さまのありがたみを再認識し、町の将来を考える機会にすべき」と考える。「外からの目線を持ち続け、多様な人がいる町を一枚岩にして後世に継承できる何かを発信したい」。日焼けした顔に白い歯が光った。

 【メモ】由布院温泉名物の観光辻馬車はJR由布院駅前から乗車でき、由布岳を眺めながら周遊する。天候などにより運休することもある。今年は湯布院映画祭が8月24日から5日間、牛喰い絶叫大会は10月10日に開催予定。

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