きょうは語呂合わせで「良い風呂の日」とか。大正から昭和にかけて活躍した作家徳田秋声に、風呂桶(おけ)をテーマにした小説がある。主人公は何を見ても、自らの命のはかなさと結びつけてしまう◆銭湯通いの日々が煩わしくなり、内湯を作ろうと思いついたはいいが、ようやく運び入れた風呂桶につかっても「この桶は幾年保(も)つだろう」「おれが死ぬまでに、この桶一つで好いだらうか」と不安になる。広々とした銭湯に比べて、どうにも窮屈で「段々自分の棺桶(かんおけ)のやうな気がして来るのであった」◆きょうはまた、31年前に旧ソ連、現在のウクライナのチェルノブイリ原発が爆発した日でもある。原子炉が吹き飛び、放射線を封じ込めるために巨大なコンクリート製の棺桶「石棺」で覆うことになった。その石棺も老朽化で、今度は石棺ごと、巨大な金属製シェルターで覆う。100年密封できるそうだが、その場しのぎでしかない◆東京電力福島第1原発の原子炉は、溶け落ちた核燃料を冷やすべく、大量の水が注ぎ込まれている。汚染水は1日400トンずつ増えており、もはや汚染水を入れておくタンクの置き場にさえ困る状態だ。さながら底の抜けてしまった水風呂か◆それにしても巨大石棺といい、破れた水風呂といい、原子力とのつきあいは相当にやっかいだと覚悟しておかねば。(史)

このエントリーをはてなブックマークに追加