梅雨の季節に入りました。色とりどりのアジサイが生き生きと雨に打たれていますが、家の中では浴室や洗濯機、エアコンなどへのカビの発生に悩まされる時期でもあります。

 さて、そのカビですが、お口の中にも生えるカビがあることをご存じでしょうか。お口の中で生えるカビの代表は「カンジダアルビカンス」と言い、「口腔(こうくう)カンジダ症」という病名で知られています。歯肉や舌、頬粘膜、口蓋(こうがい)などの表面に白いコケ状の膜が見られることが多いようです。

 家の中で見られるカビの場合、その胞子は空気中のどこにでもいるにもかかわらず通常は発生することなく、湿気が多く、掃除が行き届かない所に発生することが知られています。同じようにカンジダアルビカンスも人の身体に普通に存在していますが、通常は発症しません。

 しかし、糖尿病の方、高齢者、乳幼児、妊婦さんなど体力や抵抗力が弱い人に発症しやすいことが知られています。また、健康な人でも、疲労やストレスがたまって免疫力が低下したり、抗菌薬を長期服用されていたりする場合、義歯の手入れが行き届いていない方は発症することがあります。

 基本的には、口腔内の衛生状態を良くしておくことが発症を予防するわけですが、白板症、悪性腫瘍(しゅよう)など他の重い病変との鑑別診断を受けておく方が安心ですので、白い膜が見られたらできるだけ早く歯科を受診することをお勧めします。

 口腔カンジダ症は、うがい薬、軟こう、シロップ剤などの局所投与、または内服薬などで治癒できることが多いですが、治っても繰り返し発症してしまう場合には、なぜ発症してしまうのか、全身的な健康状態の変調を伝えるシグナルではないだろうかと原因を知って対応していくことがとても大切です。

 いよいよ梅雨本番を迎えますが、家の中も、口の中も、少しでも気持ちよく過ごせますように。

(すみ矯正歯科院長 隅康二)

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