水田を有効活用して育てたキャベツを収穫する地元の女性たち。生産拡大に伴って新たな雇用の確保にもつながっている=嬉野市塩田町

 カット野菜の需要の高まりを受け、嬉野市塩田町の農事組合法人「アグリ三新」(江口敏春代表理事)が、水田を有効活用した加工用キャベツの栽培を本格化させている。露地野菜は天候などの影響で市場の価格変動が大きいが、JA傘下の加工会社と一定額での販売契約を締結。収益性の高い野菜を新たに栽培することで、所得向上と経営の安定化が期待される。

 5月中旬。同法人の農地で青々と実ったキャベツの収穫が始まった。これまで裏作の麦を植えていた場所で、「1アール当たり5トンが目標だったが、6、7トンできた。麦に比べて収益も3倍程度になりそう」。同法人理事の古賀秀敏さんは手応えを語る。

 アグリ三新は2015年3月に法人化した。構成員は26人で経営面積は39ヘクタール。法人化により農作業の効率化が進んだが、「従来のコメ、麦、大豆だけでは行き詰まると感じていた」と代表理事の江口さんは振り返る。

 キャベツは平たん地でも栽培が可能で、定植時期をずらして作業も分散できるため、新たな転作作物として有効という。核家族化や共働き世帯の増加などで需要が拡大しているカット野菜に加工できるメリットもあり、15年産は100アールだった作付面積を1・5ヘクタールに拡大。女性を中心に新たな雇用の確保にもつながっている。

 販売契約を結んだJAさが富士町加工食品(佐賀市富士町)は、加工したカット野菜を大手外食産業やコンビニに出荷。工場はフル稼働状態で、県産だけでは賄いきれずに県外からも野菜を仕入れている。来年2月には三養基郡みやき町に第2工場を新設する予定で、さらなる販売増が期待できるという。

 16年度からは、加工・業務用野菜の生産拡大を推進する県の補助を活用。年内には作付面積を増やす計画で、同様の取り組みは他の農事組合法人にも広がりつつある。古賀さんは「所得が増えて地域の雇用につながることが重要。キャベツに限らず、1年を通して働ける態勢を模索していきたい」と話す。

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