「1頭のライオンが率いる100匹の羊は、1匹の羊に率いられた100頭のライオンに勝つ」-。プロイセンの軍事学者クラウゼビッツの『戦争論』にある。個々人の能力では劣っていても、リーダーの采配次第で組織の命運は変えられるという意味だろう◆民進党の代表選がきょう告示されるが、最近はリーダーと組織の在り方を考えさせられる出来事が続く。初代内閣安全保障室長を務めた佐々(さっさ)淳行さんが著書「重大事件に学ぶ『危機管理』」で、日本人の強みは「組織力」として、それを最大限に生かす5つの条件を挙げている◆第1の条件は「リードタイムが十分ある」。リードタイムは準備期間のこと。オリンピックなど節目に向けた準備は日本人の得意分野に違いない。だが、「1分1秒の遅れが命取りといった事態が、いつ襲ってくるか分からない」◆そんな時には何が必要か。佐々さんは「成文化されたルール」「予算」「任務分担が決まっている」と挙げる。つまり、権限と予算を与え、ルールに沿って運営するという基本である◆最後の条件は「指揮官はひとり」。佐々さんは「適切なリーダーを選びさえすれば、もともと日本人は組織力に優れているのだから、その組織が甦(よみがえ)る可能性は大きい」と説く。政治であれ、企業であれ、あらゆる組織に通じる真理かもしれない。(史)

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