児童養護施設に長期間預けられたまま実親との面会もないといった理由で、全国の児童相談所が「特別養子縁組を検討すべきだった」と考えたのに実現に至っていない事案が2014、15両年度で計288件あったことが23日、厚生労働省の調査で分かった。「実親の同意要件」が障壁になったとの回答が約7割だったことも判明。実親との交流がない上、養子として家庭的な環境を得られない子どもの存在が浮き彫りになった。

 専門家は「児相によっては特別養子縁組に消極的なところもあり、本来は縁組の検討が必要な事案はもっと多い」と指摘。戸籍上、養父母の実子と同じ扱いになる特別養子縁組は、法律で実父母の同意が原則的に必要と定められているが、厚労省は同意を得るのが難しい場合の対応を検討する構えだ。

 厚労省は昨年10月、14、15両年度に活動実態があった全国209の児相に対し、特別養子縁組の成立件数などに関する質問状を送付し、全てから回答を得た。

 その中で、乳児院や児童養護施設に長期間預けられ、実親との交流面会がないなど将来的にも家庭復帰が見込めなかった子どもについて、児相が「特別養子縁組を検討すべきだった」と考えたにもかかわらず、実現していない事案を調査。14年度は140件、15年度は148件と確認された。

 障壁となった理由(複数回答)は、「実親の同意要件」との回答が197件(68%)。実親側が「自分では育てられないが養子には出したくない」「いつかは引き取る」と答えたケースや、実親の行方が分からず打診できないケースもあった。

 厚労省は調査結果を有識者会議に提出し、実親の同意が得られない場合の対応について検討。識者からは、実親が面会交流しないケースへの対応に関するガイドラインなどルールづくりを求める意見が出ている。【共同】

 

 ■特別養子縁組■ 原則として6歳未満の子どもを養父母と縁組する制度。実親と法的関係が残る普通養子縁組とは異なり、戸籍上も養父母の実子と同じ扱いになる。予期せぬ妊娠など実親が育てられない事情があり、家庭裁判所が必要と認めれば6カ月以上の試験養育期間を経て成立。全国の児童相談所の他、都道府県などに第2種社会福祉事業の届け出をした民間団体があっせん事業を行っている。営利目的のあっせんは禁止。民間団体をこれまでの届け出制から許可制とする養子縁組児童保護法が昨年成立し、2年以内に施行される予定になっている。【共同】

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