放課後等デイサービスで馬と触れ合う子どもたち=佐賀市大和町のこどもひろば

 佐賀市大和町の自営業井手直美さん(56)が、放課後等デイサービス(放課後デイ)の「こどもひろば」を自宅横に開設し、障害のある子どもたちが馬と触れ合える機会を提供している。難病の夫が馬に心を慰められていた経験を基に、近くの小学校や特別支援学校の子どもたちに乗馬を体験させたところ好評を得て、開設につながった。井手さんや保護者は「馬と遊ぶようになって言葉が明瞭になったり、代謝が良くなったりする子どももいて、少しずつ好影響が出ている」と手応えを感じている。

 放課後デイでは障害のある子どもが放課後や休日を過ごす。「こどもひろば」は看護師や馬の飼育に慣れた職員ら7人で運営し、平日の放課後に6、7人の小中学生が利用している。

 井手さんは6年前、長年の闘病生活で疲弊していた歯科医の夫雅彦さんの助けになればと馬を飼い始めた。現在は馬2頭、ポニー1頭と暮らす。馬の飼育は、一昨年亡くなった夫(享年56)の夢だった。「馬に助けられた」と話す夫の言葉に、馬の世話や乗馬で癒やしを得る「ホースセラピー」の存在を知った。

 ホースセラピーは欧米で発達した動物介在療法の一種。障害児の療育でも、馬と接することで社会性を身に付けたり、馬に乗ることでバランス感覚や筋力が養われたりするなどの効用があるといわれている。

 井手さんは3年前から特別支援学校を訪ねて馬に触らせるなどの活動を始め、今年3月から放課後デイに移行した。子どもと親が希望すれば、職員が付いて馬と接する機会をつくる。

 開設当初から利用する中溝円華さん=大和特別支援学校6年=の母・佳子さん(40)は、娘の行動に落ち着きが出てきて、言葉も出るようになってきた実感を持つ。体のバランス感覚もついてきているようだといい、「娘は動物が好きで、楽しみながら自然に学びを得ている。私も動物が好きだから、ここに来るとリラックスできる」。

 乗馬の練習に励む高木瀬小5年の田中慶大朗君は「馬は足が早くて目が大きくて大好き」と話し、「将来はジョッキーになりたい」と目を輝かせている。

 課題は馬の飼育経費で、年間約500万円かかる見込み。井手さんは「『馬に会いたい』と言ってくれる子どもたちのために、彼らが大人になってもここで馬と会える環境を維持していきたい」と模索している。

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